⑺永住ビザを取りたい

※2019年7月1日更新

日本に在留される外国人の方の目指されるビザのゴールは2種類です。一つは日本国籍を取得する【帰化】、もう一つが、国籍は変えず【永住者】ビザを取得するという方法です。

どちらも、半永久的に日本に在留する権利を得られますので、失職や離婚のたびに「ビザが無くなって帰国しなければならないかもしれない」という不安を感じることがなくなり、また信用力が高まり、住宅ローン等のローン契約もしやすくなるという大きなメリットがあります。

違いとしては国籍を変えるか変えないかという点ですので、申請者様のお考えで選択されればよいと思います。この章では【永住者】ビザについてご説明します。

 

<条件>

以下1・2・3全ての条件を満たす必要があります。

1、素行が善良であること(素行善良要件)。

2、日本で独立して生活していける資産又は、技能を有すること(独立生計要件)。

3、申請者が日本国の利益になる人物であると法務大臣が認めたこと(国益要件)。

 

以上が法務省のページに記載されている永住者ビザの条件です。非常におおまかに表現されていますので、以下で具体的に説明します。

 


1、素行が善良であること(素行善良要件)

以下の⑴⑵⑶のいづれにも該当しないこと。

(1)日本国の法令に違反して、懲役、禁錮、罰金刑に処せられたことがある者。

ただし、刑の消滅の規定の適用を受ける者、又は執行猶予の言渡しを受けた場合で執行猶予の言渡しを取り消されることなく執行猶予期間を経過し、その後更に5年を経過したときは、これに該当しないものとして取り扱う。

※【刑の消滅の規定の適用を受ける者】とは、

(a)懲役、禁錮刑の場合は、刑の執行が終わり、又は失効の免除を得た者が、その後罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したとき

(b)罰金刑の場合は、刑の執行が終わり、又は失効の免除を得た者が、その後罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したとき

(c)刑の免除の言渡しをうけた場合、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したとき

 

(2)少年法による保護処分が継続中の者。

 

(3)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特別の事情がある者。

 

 

2、日本で独立して生活していける資産又は、技能を有すること(独立生計要件)。

独立生計要件は、必ずしも申請人自身が全て具備している必要はなく、配偶者等を含めた世帯単位でみて安定的な生活を送れる資産や技能があればよいとされています。

具体的な基準を法務省は公表していませんので、当職の経験や収集した情報から例示します。

◎例1:現有在留資格【技術・人文知識・国際業務】・年収290万円・独身

⇒○永住許可

 

◎例2:現有在留資格【技術・人文知識・国際業務】・年収340万円・4人家族(本人・妻・小学生の子供2人)

⇒×永住不許可

 

◎例3:現有在留資格【技能】年収310万円・6人家族(本人・妻・成人の子供1人・中学生の子供3人(内1人は本国に在住))

⇒×永住不許可

 

最近の入国管理局の考えとしては、扶養家族がある、イコール負担が増えると考えているようです。ですので、独身の場合は、年収300万円程度でも永住者ビザが下りることが多いですが、家族が増えると年収300万円では許可が下りなくなっています。あくまで感覚ですが、4人家族でしたら最低400万円以上はあったほうがよいかと思われます。

 

 

3、申請者が日本の利益になる人物であると法務大臣が認めたこと(国益要件)。

以下の⑴~⑹すべてに該当すること。

⑴引き続き10年以上日本に在留していること。かつ、5年以上は就労ビザ又は身分系ビザで在留していること。

【引き続き10年】が条件ですので、6年継続して在留し、一度帰国し、またビザを取って入国して4年在留した場合は【引き続き10年在留】と認められず、この条件に該当していないことになります。

 

⑵現在有しているビザの期間が3年以上であること。

例えば、期間1年のビザを10回更新して10年在留している場合は、この条件を満たしていないことになります。

 

⑶税金納付や健康保険料納付・年金保険料納付など公的義務を履行し、かつ、法令を遵守していること。

未納状態である場合はこの条件を満たしていないことになることはいうまでもありませんが、非課税世帯も【公的義務を履行している】と認められない可能性があります。
また、子供以外の国内外の親族を3人も4人も扶養者に入れている場合は、「本当にその親族の生活援助をしているか?」という観点でも審査されます。扶養者を増やすと住民税が減額されますから、本当は援助していないのに扶養者に入れている場合、不当に税金逃れをしている、と判断されるわけです。

永住ビザの添付書類として、過去5年分の住民税の課税納税証明書や、国税、健康保険、年金保険料の納付状況が分かる書類が必要とされていますので、そこで税金の納税状況がわかることになります。
この住民税の課税納税証明は2019年6月30日以前は、過去3年分の提出でよかったのですが7月1日から運用が変わりまして過去5年分が必要となりました。5年間安定して収入を得ることは現代社会では結構難しいことです。
入国管理局がどこまで求めているかはまだ運用が変わったばかりなので不明ですが、少なくとも今までどおり過去3年間は税金の非課税世帯や健康保険料の免除、減額を受けていない状態になってから永住者ビザの申請はされたほうがよいでしょう。

※国税・健康保険料・年金保険料の納付証明書は2019年7月1日以降の永住ビザ申請から必須書類となりました!

 

⑷公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

麻薬・大麻・覚せい剤などの中毒患者でないこと、及び甚大な被害が発生するおそれのある感染症を患っていないことを指します。例えばエボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱などです。過去に患っていた方の場合は、すでに完治しているという診断書が必要となります。

 

⑸著しく公益を害するおそれがないと認められること。

①の素行善良要件で定める懲役・禁錮・罰金刑までの重い罪でない場合でも、軽微な罪を繰り返し行っている場合は、この条件に該当してしまいます。

最も注意が必要なものは交通違反です。交通違反の場合、反則金のケースが多いですが、今までの当職の印象では、過去5年内に3回以上交通違反があると結構マイナス評価となると思われます。過去の記憶ははっきりしないところもあると思いますので、運転記録証明書で違反の記録を開示し、違反があった場合には、ひとつひとつの違反についての状況説明と反省文を永住者ビザ申請書に添付すべきです。
 

⑹生活保護を受給していないこと。

②の独立生計要件の観点からも、生活保護受給者は独立して生計を維持しているとはいえないので②の条件にも該当していませんが、この国益要件にも該当しないことになります。

日本人の配偶者等ビザで在留している場合で、配偶者とともに生活保護を受給している場合は、まず永住者ビザは不可能と考えてよいでしょう。また過去5年分の課税納税証明書を提出しなければなりませんので、生活保護が終わってから5年内も永住者ビザは厳しい可能性があると思われますが、必ずダメということはありませんので、一度行政書士にご相談下さいませ。

法務大臣が永住者ビザの付与に慎重になる大きな理由はこの生活保護です。生活保護は国等の負担になりますが、一度永住者ビザを与えると、生活保護状態になられても、その方に本国に帰ってもらうことが出来なくなります。ですから、今後生活保護を受けそうな方はもちろん、今まで生活保護を受けてられた方にも、永住者ビザを与えることには慎重にならざるをえないわけです。

 

 

<以下の場合は、条件が一部免除されます!>

1、申請者が、日本人又は(特別)永住者の配偶者の場合・日本人又は(特別)永住者の実子又は養子の場合

 

1、素行が善良であること(素行善良要件)。

2、日本で独立して生活していける資産又は、技能を有すること(独立生計要件)。

3、申請者が日本国の利益になる人物であると法務大臣が認めたこと(国益要件)。

 

の3条件のうち、1、素行善良要件と、2、独立生計要件は免除されます。

更に、3、国益要件のうち、在留期間要件について配偶者の場合は、「実体の伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に在留していること。」と、条件がやさしくなります。

実子又は特別養子の場合は、「引き続き1年以上日本に在留していること。」と、条件がやさしくなります。

ですので日本人(永住者)の配偶者等のビザは、永住者ビザを取得する為にも非常に良いビザと言えます。

 

2、申請者が、定住者の在留資格を有している場合

3、国益要件のうち、在留期間要件について定住者の場合は、「定住者のビザを取得後、引き続き5年以上日本に在留していること」という条件に緩和されます。

 

3、申請者が、高度専門職ビザ、又は高度人材外国人として特定活動ビザを有している場合

3、国益要件のうち、在留期間要件について、高度専門職ビザ又は高度人材外国人として特定活動ビザを有している方の場合は、「そのビザを取得後5年程度引き続き日本に在留し、そのビザに関する活動を行っていること」という条件に緩和されます。


 

<必要書類>

永住許可申請に必要な書類は、申請時の在留資格によって違いますが、ここでは最も相談の多い、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」「技能」等、就労資格だった場合の最低限必要な書類を紹介します。
なお、2019年7月1日以降、必要書類が追加(加重)されましたのでご注意下さい。

①理由書
②世帯全員の住民票(マイナンバー以外すべて表示されたもの)
③在職証明書等(職業を証明する書類)
④住民税課税証明書(直近5年分)
⑤住民税納税証明書(直近5年分)

国税の納税証明書(所得税・消費税・相続税・贈与税)
「ねんきん定期便」、または、「ねんきんネットの年金記録の印刷画面+国民年金保険料領収証書の写し」
健康保険証の写し(国民健康保険料の領収書写しが必要なケースもある)
⑨預金通帳の写し
⑩身元保証書
⑪身元保証人の住民票
⑫身元保証人の在職証明書等(職業を証明する書類)
⑬身元保証人の課税証明書(直近1年分)


赤文字で記載した書類が今回追加(加重)されたものとなります。
申請人の課税納税証明書は今までは直近3年分で足りたのですが、5年分が必要となりました。
そして新たに国税や健康保険料、年金保険料の納付がなされているかを確認する書類の添付も必要となり、永住ビザの審査が厳格化されたと言えるでしょう。
 

◎年金保険料は要注意

特に年金保険料に関しては、外国人であっても20歳以上で3か月超のビザで在留する限り、全員年金保険に加入しなければなりません。
しかも自動的に加入になるのではなく、申し込みしなければならないのです
そんなことを知って日本に入国される外国人の方はほとんどいらっしゃらないと思います。
これは留学ビザで在留する学生であっても同様です。
ですから年金保険に申し込みしてないということは、「年金保険に加入する義務がある」のに「加入していない=義務に違反している」ということも言え、これから永住ビザを申請する方にとっては大きな問題が一つ増えたことになると言えるでしょう。

学生の場合は、学生納付特例という免除制度を申請することにより免除されるのですが、学生として日本に入国した外国人の方がそのような仕組みをしってらっしゃることはほぼなく、しかも年金保険料は納付時期から2年1か月を経過すると時効により、もう払うことも免除申請をすることもできなくなります
現在永住ビザを申請する方で、未加入・未納期間がある方は、そのまま書類を提出するとかなりのマイナスとなりますので、せめて未加入(未納)になった事情説明と真摯な反省を書面にし入国管理局に説明することが必須と言えるでしょう。これは行政書士と相談した方がよいでしょう。
そしてお近くに留学ビザで入国されている学生さんがいる方は、将来の永住ビザの為、年金保険への加入と、納付又は学生納付特例の申請をすぐに行うことを勧めてあげてください。

 

<永住者ビザに関して入国管理局の考え方と実例>

(a)条件を満たしたら与えなければならないものではなく、特別に与えてあげるもの。

入国管理局は永住者ビザについて、「悪いことをせず真面目にやってきた外国人の方で、かつ今後も日本国に迷惑をかけないであろう人に、プレゼントとして与えるビザであり、また条件に適合したら必ず与えるというビザではありません。また永住者ビザは一度与えてしまうと取り消しは難しいので、慎重に判断すべき」という考え方をしていると思われます。

 

(b)裁判所も、永住者ビザを与えるかどうかは法務大臣の裁量、としている。

裁判例でも「永住者ビザについては、条件に適合していてもビザを与えるか与えないかは法務大臣の裁量権で決めることが出来る」と判断されています(東京高裁平成19年7月17日判決)。

 

(c)過去も含めて、徹底的に調査されます!

ですから、素行善良・独立生計・国益の3条件に適合していることはもちろん、疑いをもたれないように申請書を作成する必要があります。

では、なにに注意して申請書を作成すべきかというと、「都合の悪い事実もちゃんと記載し、それに対する弁解又は真摯な反省も記載する」ということです。前述のとおり永住者ビザは一度与えてしまうと、あとで取り消しが難しい上に、在留制度の重要な目的である「外国人の在留状況をチェックする」機会が、永住者ビザ許可後は無くなってしまう為、入国管理局は慎重に審査をします。当然ですが、申請人の入国から現在に至るまでのビザ更新や変更の申請書などもチェックされますし、他の様々な事項も調査されます(どの部分まで調査されているのはかは不明ですが、現地調査も含め広範囲に渡って調べられます)。

 

(d)隠していたことを、入国管理局から指摘されたら印象は最悪!

そのため、隠していても見つかる可能性が高いわけです。もし、隠していることが見つかった場合、入国管理局から指摘を受けて、それに対し弁解と反省を述べなければなりません。こうなってしまうと、「他にも隠していることがあるのではないか?悪い人間ではないか?」という疑いをもたれてしまうわけで、まず永住者ビザは通らないですし、今後永住者ビザを再度申し込もうとしても、今回永住者ビザ申請でダメだった理由も入国管理局側の記録で残ってしまうので審査が厳しくなってしまいますからご注意ください。

 

当職は永住者ビザの場合は特に、「隠し事はせず全て教えて下さい。隠していて、あとで入国管理局に見つかったら永住者ビザが取れなくなりますので」と相談者様にお伝えします。

隠し事に関し、当職が取り扱った案件を2件ほど例示します。

◎1件目:申請直前のスピード違反

永住者ビザの依頼を受け、書類も申請書も全て出来上がり、来週申請という時点で、「先生・・実は先週スピード違反で捕まってしまって3点減点されてしまいました・・。先生から言われてたので念のため言っておいたほうが良いかと思いまして。」という申告をされたお客様がいらっしゃいました。当所では、永住者ビザの申請書を作成する時点で運転記録証明書を取り寄せ、過去5年間の交通違反を必ずチェックするのですが、その時点で既に過去5年間で2回交通違反をされていた方でしたので、さらに申請直前に25km以上30km未満のスピード違反は入国管理局の心証が悪いな・・と思いました。

しかし起こってしまったことは仕方ないので、「申請直前で重いスピード違反をしてしまった事情と反省」を上申書に書いてもらい永住者ビザの申請しました。その方は年収も290万円前後でしたので微妙かなと心配しましたが、4か月後無事永住者ビザが許可されました。これは、お客様が隠さずにスピード違反を報告して下さった為、適切な処置ができ、入国管理局からも疑いをもたれずに出来たケースです。

 

◎2件目:独身と聞いていたのに、本国で結婚されていた。

依頼を頂いた際に、中国籍のお客様から「独身である」と伺い、住民票上でも外国人登録原票記載事項証明書上でも配偶者の記録がなかった為、独身ということで申請書を作っていたところ、提出頂いていた3年前の源泉徴収票に配偶者の記載があることに当職が気付き、お客様に聞いたところ、「本国で結婚届を出したがすぐ別れた」という回答をされたお客様がいらっしゃいました。

調べると、本国で結婚届を出したが日本では出しておらず、本国で離婚届を出さずに放置している状態であることがわかり、直ちに本国に戻り離婚届をだしてもらい、今までの在留資格更新変更申請時に「独身」として申請していたことに関する理由と反省を上申書に書いてもらい、その離婚届受理書の写しとともに永住者ビザの申請をしました。

こちらのケースも無事永住者ビザが許可されました。お客様自身も、既に別れて数年経過していた為「独身」と誤認されていたケースですから、本人様が自分で申請する場合は「独身」と書いて申請されていたと思いますが、この事実を入国管理局が先に気付いた場合、本国で配偶者がいるということは、日本での定着性が疑われるだけでなく、他にもウソをついているのでは?という疑いをもたれる危険性もありました。これは当職のような専門行政書士に任せて頂いてよかったケースだったと思います。

 

 

<判例>

永住者ビザ不許可処分取消請求事件(東京高裁平成19年7月17日判決)

◎事件概要

定住者ビザ(期間3年)で在留期間更新許可を受けながら在留していたペルー人女性が、永住者ビザ申請をしたが不許可となった事案で、原審(地裁)では、永住者ビザを与えなかった処分について誤りはないという判決が出て、申請人が控訴している。

⑴日本に入国して10年、定住者ビザになってから既に5年以上在留している。

⑵夫とともに民間企業で共働きし、夫婦の月収合計は約50万円。税金も正常に納付している。

⑶平成12年に国民健康保険に加入。

⑷正社員として勤務しているのに、社会保険には加入していない。

⑸長女と次女がおり、それぞれ日本の小中学校に進学。家族全員非行歴、犯罪歴無し。

⑹申請人の兄弟姉妹も既に永住者ビザ取得済。

⑺申請人が「兄」として扱っていた人物Aについて、申請人の父が「自分や妻の子ではない」と否定した供述を行っている。真実は兄であるかどうかは不明。

 

◎東京高裁の判旨

永住者ビザ不許可処分は、法務大臣の裁量権の逸脱・濫用によるものであって違法というべきであり、その取消しを免れない。として申請人の勝訴とした。以下、詳細(a)~(d)。

(a)上記事件概要⑴~⑶及び⑸によれば、入国管理局が作成した「永住許可ガイドライン」に挙げられている要素を満たしているから、国益要件を満たしていると考えられる。また⑸により素行善良要件、⑵により独立生計要件も同様に満たしていると考えられる。よって、永住者ビザの3要件は満たしていると認められると判示。

<解説>「永住許可ガイドラインの要素を満たしているから、国益要件を満たしている。」との考え方からすれば、国益要件に関しては法務大臣の裁量権の範囲はそれほど大きくないと判示したものと考えられる。

 

(b)加入義務のある社会保険に加入していないことについては、「社会全体の負担になりうる」という国益要件の消極要素にはなりうる。ただ、社会保険・厚生年金・雇用保険は、雇用主に届出義務、保険料納付義務が課せられているものであるので、従業員にその責を過大に問うのは相当ではないと判示。

<解説>正社員であるのに社会保険に加入していないというケースは、法律で定めた義務に違反してはいますが、現在も零細企業ではよく見受けられます。従業員が、雇用主にたいして、「法律違反なので社会保険に加入してほしい」ということは力関係上、ほぼ不可能なことであり、さらに立場が弱い外国人であればなおのことです。

社会保険に加入していないことが永住ビザ申請に全く影響しないとまでは言えませんが、その責任はほぼ100%雇用主にあるので、申請人にそこまで責任を問うことは適切ではないと判示しています。当職もこれは適切な判断だと思います。

 

(c)申請人が兄として扱っていたAについて、「申請人はAが兄であると信じて資料を提出したのであって、日本人に偽装させるために行ったのではない」と判示。

<解説>Aが兄なのか違うのかは分からない為、裁判所もその認定はしませんでした。ただ、申請人にウソであることの認識がない限りは、不利益に考慮すべきではないと判示したと思われます。

 

(d)申請人の兄弟姉妹はいづれも永住者許可を受けており、その兄弟姉妹の永住者許可申請の際にもAを兄妹として申請されているはずなのに、申請人の場合だけこの問題で認めないことは平等原則に違反すると判示。

<解説>永住ビザの判断は、素行善良要件・独立生計要件・国益要件と非常に広範で複雑な判断を必要とするものであり、法務大臣に与えられている裁量権限も非常に広範です。その為、通常は平等原則違反という考えは難しいと思われます(兄弟姉妹と申請人は、全て同じではないので)が、当該判決では、Aに対する事項のみに絞り込んで平等原則違反を適用しており、踏み込んだ判決と言えます。