〈簡単〉条件は3つだけ!

消費者金融、クレジットカード、債権回収会社、携帯電話料金、医療費の借金は、以下1、2、3、全てにあたれば無くすことが出来る簡単・単純なてつづきです。
 
  1. 返済日から、5年以上一度も返済していないこと(医療費は3年)
  2. 返済日から、5年以上一度も返済の約束をしてないこと(医療費は3年)
  3. 相手から、裁判を10年以上おこされていないこと

1. 「返済日から、5年以上一度も返済していないこと」について

消滅時効については、民法第166条第1項第1号に、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」に時効によって消滅する。とされています。
消費者金融やクレジット会社は金銭を貸す際に、自社で作成した契約書を作成しておりほとんどの場合契約条項に「借主は、1回でも約束の返済を怠ったら期限の利益を喪失し、残金を一括で返済しなければならない」と定めています。
約束の支払日に入金がなかったことをプロの金融業者が気づかないことはありませんので、借主が1回でも返済しなければ、その時点で【債権者が一括で支払えという権利を行使することが出来ることを知った】ことになりますので、返済日から、5年以上一度も返済していなければ、この条件はOKとなります。

なお、民法は2020年4月に改正されて上記の内容となりましたが、上記内容が適用されるのは2020年4月以降に発生した借金についてのみです。
それ以前に発生した借金は改正前の旧法が適用されますが、内容は一緒で、原則【返済日から、5年以上一度も返済していないこと】です。


【参考:旧法】
旧民法167条第1項で「債権は、10年間行使しないときは、消滅する。」となっており原則10年で時効となりますが、
その例外として、旧商法第522条で「商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。」となっており、消費者金融やクレジット会社等は、この商法第522条にあてはまるので、支払日から5年経過すると時効期間が完了するあつかいになっています。

2. 「返済日から、5年以上一度も返済の約束をしていないこと」について

民法第152条には、
「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」と書かれています。
この「権利の承認」というのが、電話等で返済の約束をする行為にあたります。
ですので、電話や書面で返済の約束をしてしまうと、その時点から5年経過しなければ時効は出来なくなりますのでご注意くださいませ

なお、ハガキ、封筒、書留、レターパックなどで請求書を送って来られても時効にはまったく関係ありませんのでご安心ください。
また請求書の題名が「督促状」「催促状」「訴訟予告通知」「最終警告書」など、業者によってさまざまな怖そうな名前の書面を送ってきますがこれも時効には関係ありませんのでご安心ください。
問題は、そのような通知に驚いて業者に電話してしまうことですので、昔に延滞した業者から請求書が届いたらまずは行政書士等の法務専門家にご相談ください。裁判については下記「③相手から、裁判を10年以上おこされていないこと」の段落で説明します。

3. 「相手から、裁判を10年以上おこされていないこと」について

旧民法第174条の2第1項には「確定判決によって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年とする。裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利についても、同様とする。」となっています。

※新民法では第169条第1項にて「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。」となっており、新法旧法ともほぼ同様の意味となります。

いいかえると、「一度裁判をされて判決が確定すると、5年で時効になる借金も判決確定から10年経過しないと時効にならなくなる。」ということです。

ただ、一度裁判をされてもその判決確定日から10年経過した時点で、再度消滅時効手続きは可能となります
昔裁判をされてしまっていたとしても諦めず、一度当所にお問合せ下さいませ。
 

上の1. 2. 3. の全ての条件が整っていたら、【借金について消滅時効を援用します】と内容証明郵便で通知しましょう

民法第145条には「時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」と規定されております。法律なのでややこしい言い回しですが、言い換えると、

上記3つの条件が整っていても、借主が相手に対し「この借金について時効にします」と伝えなければ時効は成立せず、借金も延滞金も消えません。という意味です。これを「消滅時効の援用」といいます。


そして「伝える」方法は、電話や普通の手紙でも法律上は間違ってはいないのですが、電話や普通の手紙では「相手業者に意思を伝えた証拠」が残らない為、後になって「そんな話は聞いていない」と言われても反論出来ません。

ですから実務上は内容証明郵便という「何時に、どのような内容を、誰に届けた」ということを、郵便局が証明してくれる【配達証明付き内容証明郵便】という方法で時効援用を行うことになっています。

書面の内容も文言を間違えると時効の効果が発生しないこともあり、また内容証明郵便には文字数.行数や名宛人などの記載方法、提出方法にさまざまな決まりがありますので、行政書士などの法務専門家に依頼されるケースが一般的で安心です。