⑴外国人雇用をしたいので、まず相談をしたい

会社様からのご相談の場合、まずはお電話やメール、面談にて、どのようなことがなさりたいのかをご相談を伺うことから始まります。当所では、無料で相談をお受けさせて頂きますのでビザに関することはどのようなことでもお問合せ下さいませ。

現在日本人従業員の確保は難しくなっており、優秀な人材や若い人材となれば、なお中小の企業様には確保が難しくなっています。その為、優秀な若い外国人の人材雇用を考えられる企業様は増えており、今後の日本の人口分布からしてもその動きは加速するでしょう。

しかし外国人の雇用にはビザという壁があり、従業員となる外国人はもちろん、雇う側の企業様も、ひとつ間違えると犯罪になってしまう危険性が御座います。具体的には、入管法第73条の2に定められる不法就労助長罪です。この罪の問われると、その企業様と役員様は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又はその両方の罪になる可能性があります。

 

<入管法第73条の2>

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

二 省略

三 省略

 

<近年実際に大阪・兵庫で発生した不法就労助長事件>

①ホテルチェーン「ファイン」

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018070401065&g=soc(時事ドッドコム:2018/7/4)

 

②ラーメンチェーン「一蘭」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24026280Z21C17A1000000/(日本経済新聞:2017/11/29)

 

③自動車解体業「ヤード」

https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201709/0010628681.shtml(神戸新聞NEXT:2017/9/13)

 

④串カツチェーン店「だるま」

https://www.sankei.com/west/news/170726/wst1707260032-n1.html(産経新聞:2017/7/26)

 

⑤スーパーマーケット「スーパー玉出」

https://www.sankei.com/west/news/161222/wst1612220075-n1.htmll(産経WEST:2016/12/22)

 

⑥免税店「ラオックス」

https://www.ryutsuu.biz/strategy/i032226.html(流通ニュース:2016/3/22)

 

⑦中華料理チェーン店「餃子の王将」

https://www.sankei.com/west/news/140926/wst1409260002-n1.html(産経WEST:2014/9/26)

 

⑧飲食店「神戸にんにくや」

https://www.sankei.com/west/news/140925/wst1409250004-n1.html(産経WEST:2014/9/25)

 

有名企業も多数ありますが、外国人雇用には、このような大企業でさえも罪を犯してしまう恐ろしさがあります。ではなぜこのようなことが起こるのでしょうか?

理由は簡単です。入管法について企業様が知らない為です。日本で商売をされている限り、入管法を知る必要も機会もありません。また大学で習うこともほぼありませんので、従業員の方が知っていることもないでしょう。

驚かれるかもしれませんが、外国人の方を日本人同様に雇用し、日本人と同様に働いてもらい、日本人と同様に給料を払っただけなのに企業が逮捕されるという可能性があるのです。実はなんと、前述した8件のニュースの大半はそういうケースです。(もちろん、入管法違反になることを分かってやっている企業もあることは事実です。)

 

 

<外国人雇用時の注意点>

では、具体的に外国人を雇用する企業様が気を付けるべき点は何かと申しますと、「雇用時の外国人の在留資格の確認」と「外国人の雇用又は退職を企業が入国管理局に報告すること」の2点です。以下項目をわけて詳しく記載します。

 

⑴「雇用時の外国人の在留資格の確認」

(a)ビザと在留資格の違い

外国人が日本に在留する為、原則【在留資格】が必要となります。【ビザ】と【在留資格】は厳密にいうと違うものですが、細かく分ける意味もないので、このページでは【ビザ】イコール【在留資格】として説明させて頂いておりますが、参考までに違いを記述します。

外国にいる外国人が日本に入国しようとする場合、外国にある日本大使館(領事館)に、(こういう目的で日本に行きたいという)ビザの申請をします。大使館等の管轄は外務省です。そして大使館等からビザの発給がなされたら、外国人は航空機や船で日本に来て、日本の空港や港で入国審査が行われます。この入国審査を行うのが入国管理局です。入国管理局の管轄は法務省です。大使館等のビザは、外務省からの推薦状のようなものですので、それをもとに入国審査が行われ、入国管理局が入国を認めたら、期間を定めた在留資格が付与され、晴れて空港から出て日本に入国できるという仕組みです。

 

(b)外国人の身分証明書

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日本で3ヶ月超の在留をするいわゆる中長期在留者は、原則在留カードという顔写真付きの身分証証明書を入国管理局から受け取ります。この在留カードは、羽田空港・成田空港・中部空港・関西空港・広島空港・福岡空港から入国した外国人はその場で、それ以外の空港や港から入国した外国人は市区町村に届け出た住所地宛に簡易書留で在留カードが郵送されてくる仕組みとなっています。

在留カードに記載されている内容で主なものは、カードナンバー・名前・住所・生年月日・性別・国籍・在留資格・在留期間・在留期日・就労制限の有無です。

 

(c)在留カードの更新、変更

入国後、在留資格の期限後もまだ日本に在留し続けたい場合は在留期間更新申請を、入国後状況が変わって在留資格で認められた活動と異なる活動をすることになった場合は、在留資格変更申請を、いずれも住所地を管轄する入国管理局に申請をして、認められれば、また新たに期間を定めて在留資格が付与されるということになります。認められた場合は、古い在留カードを入国管理局に渡して穴をあけてもらい、代わりに新しい在留期限や在留資格が記載された在留カードを受け取ることになります。

 

(d)外国人雇用時の注意点

雇用時に必ず在留カードの確認が必要です。その際のチェックポイントは、在留資格・就労制限の有無・在留期日・カードナンバーです。

◎在留資格・就労制限の有無

在留資格は27種類ありますが、大きく分類すると①身分系資格・②就労資格・③非就労資格の分類あり、その内①身分系資格・②就労資格の分類の在留資格であれば就労が雇用が可能となります。

①身分系資格

在留資格:日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者・永住者・特別永住者

就労制限の有無欄:就労制限なし

日本人と結婚している、日本人の子供である等、その人の能力ではなく身分関係のみによって付与される在留資格です。法律に反しない限り全ての職種に就くことが可能ですので、企業様も安心して雇用が可能です。

 

②就労資格

主な在留資格:技術.人文知識.国際業務・技能・経営管理・企業内転勤・興行・高度専門職・特定活動46号(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務)

就労制限の有無欄:在留資格に基づく就労活動のみ可

ある一部の職種(仕事)についてのみ就労が認められた資格です。ニュースなどで「日本は就労ビザの取得が難しい」などという表現をされることがありますが、それはこの分類を指します。この資格の注意点は、当該外国人が所持している在留資格と、企業様が雇用しようとしている職種が同一であると思われる場合でも入国管理局に確認、報告が必要である点です。当該外国人が所持している在留資格と、企業様が雇用しようとしている職種が同一でなければ、雇用する前に入国管理局に在留資格変更申請を行い、変更申請が許可されれば雇用が可能となります。

詳しくはこちら→(⑵外国人を雇用したい)に飛ぶ

 

③非就労資格

主な在留資格:留学・家族滞在・文化活動・研修

就労制限の有無欄:就労不可

原則的に就労不可の在留資格です。その為、上記の在留資格の外国人を雇用する場合は、必ず入国管理局に就労ビザへの在留資格変更申請をし、許可を受ける必要があります。

ただ例外として、【資格外活動の許可】という方法があります。下記条件を満たせば週最大28時間以内の就労活動を認めるという入国管理局の許可で、許可がされた場合、カード裏面の資格外活動許可欄に許可の旨が表記されます。

就労先が変わる場合は、再度資格外活動の許可を取り直す必要があります。

なお、在留資格「留学」「家族滞在」の外国人の場合は、包括的な許可を得ることが可能で、この場合は、就労先が変更になる場合でも再度資格外活動の許可を取り直す必要はありません。また、留学生の場合で、夏休み・冬休みなど、学則による長期休業期間は1日最大8時間まで就労可能となります。

【資格外活動許可の条件】

以下、(ⅰ)~(ⅳ)全ての条件を満たしている必要があります。

(ⅰ)資格外活動が主たる在留資格の活動を妨げないこと。

例えば留学生が、学業よりアルバイトの方が活動時間が長いような場合が該当します。

 

(ⅱ)資格外活動許可を受けようとする業務が、単純労働でないこと。但し、在留資格【留学】の場合は単純労働も可能です。

例えば、工場や工事現場における単純作業などが該当します。

 

(ⅲ)資格外活動許可を受けようとする業務が、(性)風俗関係や公序良俗・法令に反する業務でないこと。

例えば、キャバクラ・スナック・クラブ・パチンコ店・性風俗店・オレオレ詐欺を行っている団体での勤務などが該当します。

 

(ⅳ)在留状況に問題がないこと。

 

 

◎在留期日

上記在留資格が就労資格・非就労資格である場合は、在留期日に注意が必要です。なお、身分系資格の場合は全ての職種で勤務出来るので不要です。

 

①外国人が所持する在留資格が、企業様が雇用しようとしている業務内容と同一であると思われる場合

・在留期日まで4ヶ月以上ある場合:

就労資格証明書交付申請をさせ、取得出来れば雇用するという方法がスタンダードです。この【就労資格証明書】とは、その外国人が現在有している在留資格が、新たに雇用しようと考えている企業様の業務でそのまま使えるかを入国管理局が審査する制度です。新たに在留期間を付与されることはありませんが、許可が受けられれば次回更新時は、ほぼ単純更新として在留審査を受けられます。

・在留期日まで4ヶ月未満の場合:

【就労資格証明書】は申請から結果が出るまで1~3ヶ月程度かかります。その為、在留期日まで4ヶ月を切っている場合、最悪、就労資格証明書が交付されるまでに現在所持している在留資格の在留期間が切れてしまう可能性があります。ですから、この場合は直接、勤務先が御社に変わるという内容で、在留資格更新申請を行うことになります。許可が出れば雇用し、もし許可が出なかった場合には雇用できない上、その外国人もビザが切れてしまい、最悪帰国しなければならないリスクがあります。後で話が違うなどというトラブルを避けるため、その旨を外国人に伝え書面での了承をもらう方が安全です。

 

②外国人が所持する在留資格が、企業様が雇用しようとしている業務内容と同一でないと思われる場合

・在留期日まで4ヶ月以上ある場合:

在留資格変更申請を行うことになります。許可が出れば雇用するということになります。

 

・在留期日まで4ヶ月未満の場合:

在留資格変更申請を行うことになり、許可が出れば雇用するということになりますが、もし許可が出なかった場合には雇用できない上、その外国人もビザが切れてしまい、最悪帰国しなければならないリスクがあります。後で話が違うなどというトラブルを避けるため、その旨を外国人に伝え書面での了承をもらう方が安全です。

 

◎カードナンバー

在留カード表面右上に記載されているナンバーです。法務省入国管理局在留カード等番号失効情報照会(https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx)というサイトで、その在留カードが失効していないかどうかを調べることが可能です。有効なカードかどうかを調べられますから、カードが偽造されたものでないかを簡単に調べることが出来るということです。騙されて雇用した場合、企業様が罪に問われることはありませんが、自己防衛の為、ここまでされておいた方がよいでしょう。

 

 

⑵外国人の雇用又は退職を、企業が入国管理局に報告すること

外国人を雇用した際には、中長期在留者の受入れの開始に関する届出を、外国人が退職した際には、中長期在留者の受入れの終了に関する届出を14日以内にする必要があります。

あくまで努力規定ですが、履行していない場合、入国管理局の心証として真面目な企業として認識されないとマイナス点があります。在留許可は入国管理局(法務大臣)の裁量権が広範なものですので、その判断を行う行政庁の心証が良いか悪いかは今後の外国人採用時の在留許可に影響しますので、努力既定もしっかり履行した方が今後の企業様の為によいと思われます。