民泊許可についてのご質問

①大阪市で民泊するなら、マンション・アパート・一戸建て、どれがいい?

①一戸建て2階建てがお勧めです!

一戸建て2階建てがお勧めです。許可と、収益と運営面で分けて下記のとおりご説明します。


(a)消防法上も一戸建て2階建てなら80%以上許可がとれる!
消防法の許可でいうと、私の経験上一戸建ては80%許可が取れますが、マンション等では25%程度しか許可が取れる物件がありません。
ですから許可の面からは一戸建てが取り易いです。


(b)収益面でも一戸建て2階建ての方が、マンションより人数を多く入れられるので儲かる!
マンションに比べ、一戸建て2階建ての方が延べ床面積が多くなるケースが多いと思います。
当職が扱ったケースでも、マンションですと収容人数4~6人くらいですが、一戸建て2階建てですと7~11名くらい収容できる為、大人数の旅行客を取り込め収益的に有利です。


(c)民泊運営のしやすさも一戸建ての方が楽なケースが多い!
マンションは何といっても、たくさんの方が同じ建物に住んでいるわけです。
ですから、【騒音】【ゴミ】【セキュリティ】に関してのトラブルは一戸建てに比べて、日本人どおしでも多くあります。
これが言葉の通じない外国人の、しかも旅行者だった場合は、更に大変です。

あなたの住んでいるマンションの隣の部屋で夜遅くに旅行者が騒いだらどうでしょう?

あなたの住んでいるマンションのゴミ置き場や廊下に、収集日でも無いのに生ゴミが放置されていたらどうでしょうか?

あなたの住んでいるオートロックマンションに、深夜に大柄な外国人男性が5名くらいで入ってきて廊下でゴソゴソされたらどうでしょうか?

不安に思っても言葉も通じませんし、そもそも相手は旅行者なのか、犯罪者なのかも分からないので怖いですよね。
そうなると民泊運営者のところに苦情がきます。
ひどい場合は、1週間に2回くらい苦情が入って現地にいかなければならないケースもありますし、民泊運営自体も止めて欲しいと保健所にクレームが入ることもあります。

以上3つの視点から、一戸建ての方がお勧めです。

②民泊するために【民泊OK物件】を賃貸契約してもOK?

②ちょっと待って下さい!民泊許可がとれるか調査してからでなければ、賃貸契約してはダメです!

大阪市の賃貸物件で【民泊OK】と記載されている物件がありますが、これはあくまでもアパートオーナーが「民泊しても良い」と言ってます。というだけの意味です。ただ、アパートオーナーが民泊OKと言ってくれていることも民泊許可を取る為の最低条件です。
そのうえで他の条件を調べる必要が御座います。

仲介会社はよく、「大阪市で民泊OK物件は非常に少ないので、早く申し込みしないと他の人にとられますよ」と言いますし、本当に他の人にすぐ取られることはありますが、早急に行政書士にご相談をして、許可がとれそうかどうかを確認して下さい。

③既に特区民泊許可を取っている部屋があるアパートの別の部屋なら、問題なく特区民泊許可は取れる?

③取れる可能性は高いですが、ダメなケースも結構あります!

(a)基本的には大丈夫ですが、まずは平米数をチェック!
大阪市では民泊を認めてくれるマンションが少なく、かつ、特区民泊許可がとれて条件もよいマンションとなると本当に希少な状態ですので、よくわかります。平米数が25㎡以上ならば基本的に問題ないでしょう。


(b)でも、消防署への確認は必須!!延べ床面積 1/10以上になるかも?
ただ、消防署への確認だけはなさった方が絶対に安全です。
前掲、消防法の【(a)(例外)今回民泊する部分だけの設置で済む場合があります!】をご確認頂きたいのですが、本来は建物全体に民泊用の消防設備が必要な場合でも、物販店・飲食店・民泊部分等(他の人が運営している物販店や飲食店・民泊部分も含む))の延床面積が、建物全体の延床面積の1/10以下かつ、300㎡未満である場合は、消防設備は民泊部分だけで済む場合があります。
この基準は結構厳しい条件でして、例えば全10戸の建物の場合、1室だけで民泊をしても全体の1/10以上になってしまう為、この特例が使えなくなります。


(c)あなたの番で容量がオーバーするかも?
お客様が今回申し込もうと考えている建物には既に民泊が1室以上入っているということですから、例えば建物全体で延べ床面積500㎡だったとして、先に民泊を始めている部屋の延べ床面積が40㎡だったとしましょう。
そうすると、建物全体の延床面積の1/10以下という条件でおさめようとすると、あと民泊が出来るのは9㎡だけになります。
9㎡の部屋なんてありませんので、お客様がもう1室で民泊をする場合は、この消防設備は民泊部分だけで済む特例が使えず、原則通り建物全体に民泊用の消防設備が必要になるということになります。
ですので、建物が現在、消防法上どのような状態かを確認しなければ、民泊許可が取れるのかどうかわからないというのが怖いところです。


(d)消防署に確認するには、建物所有者または管理組合の委任状が必要!
消防署に確認するには、建物所有者(分譲マンションならば管理組合)からの委任状が必要となります。
部屋の所有者ではありませんのでご注意ください。

委任状のひな型は各消防署にありますのでそこでもらうことは出来ますし、当所に言って頂ければひな型をお送りすることも可能です。
もしこの委任状に建物所有者から署名捺印もらえるのであれば、当所に言って頂ければ、予定が詰まってなければ無料で3営業日以内に消防署に確認させて頂きます。

④周辺住民から民泊に反対された場合はどうなる?

④反対されても許可は取れます。

(a)特区民泊許可要件には、周辺住民の同意は必要ありません。
許可要件としては「周辺住民の方へ民泊営業について適切に説明し、理解を得られるよう努力すること」とされており、周辺住民の同意まで必要とされていませんので、反対者がいたとしても他の条件を満たしていれば原則的に許可は下ります。
また私はご依頼をうけたほぼすべての周辺住民説明に同行していましたが、90%以上は大きな反対をされるケースありませんでした。


(b)ただ、実際の運営を考えると、周辺住民の方の理解を得られる努力をすべきです。
私が行った案件でも周辺住民の方から強硬に反対された案件が2件ありました。

港区のケースでは、1軒づつ戸別訪問をしていたところ、周辺住民から「個別訪問ではなく、全体説明会を開くよう」要請され、説明会を開くことになりました。
説明会では合計25名程度の周辺住民の方や地区の組合長さんが集まりました。

説明会も最初は普通のやりとりだったのですが、だんだんヒートアップしていき、「毎日夜に苦情の電話をいれるから、すぐに現地に来いよ」などと業務妨害まがいの話をしてくるような方も出てきたり、「防犯カメラを入口から4方向に向けてつけろ」、など無意味と言える無茶な要求をしてきたりなど収集がつかないような状態になり、結局説明会でも納得してもらえず保留になったのですが、最終的に依頼者様が、「このように反対されていては、実際に民泊営業しても大変だし、民泊は止めて許可のいらない外国人向けのシェアハウスにします」と、おっしゃって民泊を断念されました。

ですので、反対があっても許可は取れますが、実際に民泊営業が始まった際に、強硬に反対する方がいた場合、すぐにクレームの連絡が入り度々夜間現地に行かなければならなかったり、直接ゲストに文句を言ってトラブルを起こされ、悪いレビューをゲストに書かれたりすると、結局事業としてうまくいきませんので、反対される方がいる場合は、出来る限りご理解を得られるよう努力はすべきと思います。

※2020年4月からは、条例改正により住民説明会の開催が義務付けられました。

⑤「周辺住民に民泊反対される可能性がある場所」とは、どのような場所?

⑤せまい路地にある一戸建てです。

基本的に皆さん無関心ですし、そもそも正式な許可を取って民泊を行う場合、正当な権利をもつ賃借人や所有者が自分の部屋(家)で、法的に認められた営業を行うわけで、周辺住民の方は、本来文句をいう権利もないものですから強硬な反対をされるケースは少ないです。

ただ稀に強硬な反対にあうケースはありました。
一概に言えませんが、細い路地が入り組んでいる狭い場所にある家などは、反対されたケースが西成区天下茶屋でありました。

ゲストは民泊に来る際に、ガラガラとキャリーバッグを転がしながら歩かれますし、旅行なのでテンションが上がっていて大きな声で話されるケースがあるので、細い路地の方は夜間にうるさいと懸念されるケースがあるようです。

⑥民泊で出るゴミはどのように処理すれば?

⑥一般ゴミで出したらダメ!ゴミの許可業者と契約して、収集処理してもらう必要あります!

(a)絶対に地域のゴミ置き場に捨てないでください!
民泊で出るゴミは事業系ゴミですので、一般ゴミとして地域のゴミ置場に捨ててはいけません。
民泊許可の問題だけでなく、周辺住民の方ともトラブルになりますので、許可を持っている廃棄物業者に収集してもらう必要があります。


(b)ゴミ業者は、3つの許可をもっている業者でなければ民泊許可はとれません。
民泊許可の要件として、許可を持っている廃棄物業者に収集・処理してもらうという届出を環境局に行う必要があります。

具体的には、①一般廃棄物の収集運搬・②産業廃棄物の収集運搬・③産業廃棄物の処理、という3つの許可を持っている業者との契約が必要です。
大阪市の廃棄物許可業者で検索し、収集の許可がある業者様があればそこに連絡をして、上記3つの許可が必要だが、御社はその許可を持ってますか?もしくは御社が①の許可しかないとすれば②③の許可を持っている業者と提携されていますか?と聞き、提携していて、その業者が②③をやってくれることになっているなら、その業者名を聞ければ許可的には大丈夫です。


(c)ゴミ業者の料金は、1か月6,000~10,000円程度が相場のようです。
またご面倒でしたらこちらで廃棄物収集業者を代わりにお探しすることもさせて頂きます。
なお、上記ゴミの収集処理は業者によって大きく変わりますが、だいたい週に2.3回の収集で、1ヶ月6,000~10,000円程度かかります。

⑦日本語しか話せないので、googleの翻訳機能を使って対応する予定だが、大丈夫か?

⑦日本語以外に、もう1か国語の言語が使える必要があります。

(a)民泊許可はとれると思います。
大阪市の要領では、民泊許可を取る為にはホストは日本語以外にもう1か国の言語が使える必要があるとされています。
正直なところ、許可の時点で、その外国語対応をする人物の外国語レベルをチェックする機能はありませんし、このレベルでなければならないという基準もない為、民泊許可は通ると思います。


(b)しかし実際運営するには、多言語対応の電話代行業者を使ったほうがよいでしょう。
ただ、ゲストが緊急で困ったときに、電話してもらったらホストが緊急対応する電話番号をゲストに伝える必要があります。
ですから、その電話番号にかけても外国語が話せる人がいないということでは悪いレビューを書かれるでしょうし、火事などの場合ですと人命にも関わることになりますので、多言語での対応をする電話代行業者を利用するなど対応をされた方がよいですね。

⑧現在ヤミ民泊をしているが、民泊許可をとりたい。

⑧当所の無料簡易調査をご利用ください!

(a)許可が取れる物件かどうかをまず調べるべきです!
2018年6月に、Airbnbが無許可民泊を掲載しないとしてから減ったと言われていますが、まだヤミ民泊を続けてらっしゃる方も多数いらっしゃいます。そしてそのようなお客様からもたくさんのご相談を頂いていますのでご安心くださいませ。

まずは、その物件で民泊許可がとれるかどうかを調べるべきですね。ですから、当所の無料簡易調査をご利用くださいませ


(b)許可が取れそうなら、予約をストップしてください!
無料簡易調査で、許可がとれそうであれば、すぐに新しい予約をとることを止めて下さい。
本当は、すでに入っている予約もすべてキャンセルされるべきなのですが、それはお客様のご商売のことであり、お客様がご判断されることですので。
普通は3か月先くらいまでは予約をとってらっしゃると思います。
ですから民泊許可申請をその予約が終わったタイミングで行えればお客様の資金的にもよいのではないでしょうか。ただ保健所への民泊申請の時点で、ヤミ民泊のリスティングが残っていると保健所から指摘をうけ、許可にも影響します。
ですから必ず保健所への民泊申請時点では、リスティングは閉鎖もしくは非公開状態にしておく必要があります


(c)許可が取れないようであれば、そこでの民泊はやめられたほうがよいでしょう。
許可がとれないのであれば、いづれ保健所に発見され、最悪の場合、逮捕されます。
ですから行政書士としては、そこでの民泊はやめられたほうがよいでしょうとお答えすることになります。
あとは、お客様の商売のことですからお客様でご判断下さいませ。

⑨大阪市内で、収益が上げやすい物件の条件は?

⑨梅田・京橋・新大阪、そしてUSJへのアクセスのよい場所で、8名以上収容できる物件です。

(a)なんば・日本橋周辺は言うまでもなく民泊一等地ですが、物件が出ません。
駅でいえば、なんば・日本橋周辺は言うまでもなく大阪市内の民泊場所としてNo1ですが、もう今はこのあたりで許可がとれる物件は出にくいでしょう。
次に目指す場所としては、京都などへのアクセスのよい梅田や京橋・新大阪、そして、日本の人気No1観光施設といわれるUSJ近辺といえるでしょう。


(b)駅からは徒歩7分が限界
一般論ですが、①旅行者はキャリーバッグを引いて歩くので、駅からは徒歩7分以内、②関西国際空港からのアクセスのよい場所、③最寄り駅はJR環状線の駅がよいといわれます。


(c)収容人数は8名以上できるところがよいです。
収容人数は、8名以上(延床面積50㎡以上)の方が個人的には収益が上げ易い印象です。
マンションでこのサイズの民泊OK物件は中々ありませんので、中古の2階建て戸建てを購入するか賃貸するかがよいかと思います。


(d)物件が見つかったら、契約前にサイトでサーチをすべきです!
また物件が見つかったら、無料で周辺民泊施設の宿泊料金や稼働率が分かるサイト(エアビーデータバンク等)で、顧客単価や稼働率を調べ、1ヶ月の利益を推定して契約するかどうかを検討される必要があります。

⑩民泊を1件する場合、開始までにかかる費用と、1ヶ月の運営経費を知りたい。

⑩家賃を除いて、初期費用950,000~1,300,000円、毎月の費用75,000~85,000円です。

あくまで私の記憶ですのでお客様の場合に該当するかどうかわかりませんが、8名収容の1戸建てで民泊をするとして考えますと、


⑴開始までにかかる費用
(a)消防設備設置費用:300,000~400,000円

(b)行政書士報酬:200,000~280,000円+保健所への民泊申請手数料21,200円

(c)家具・電化製品・備品代:400,000~600,000円

合計:950,000~1,300,000円+不動産取得(賃貸)費用

これが最低必要な費用です。ここに内装やトイレ・風呂など水回りを改装したりすると、その分の費用1,000,000~3,000,000円程度が追加されます。
ただ中古戸建の場合、せめてAirbnbなどで写真の1枚目にする部屋のクロスや照明、そしてトイレ・台所・洗面所などは費用をかけた方がよい結果が出ているという印象です。


⑵毎月かかる費用
(a)水道光熱費:13,000~23,000円

(b)ポケットwifiレンタル費:4,000~5,500円

(c)備品費:3,000~5,000円

(d)ゴミ収集費:5,000~8,000円

((e)家賃:80,000~130,000円)

((f)民泊運営代行費(売上の15~20%)又は24時間多言語対応サービスのみ(5,000~10,000円))

((g)清掃洗濯代行費:1回5,500~7,500円×1ヶ月5~6回=35,000~40,000円)


⑶清掃洗濯は自分でやったら大変!業者にまかせましょう!
(e)は購入の場合はかかりません。(f)(g)は全部自分でされるならかかりません。
ですから、購入で、かつ、ゲストとのやりとりや清掃洗濯もまずは全部自分でされるなら1ヶ月の経費は35,000~45,000円程度で済みます。

1人で兼業せずに民泊運営だけに専念されるなら、6室くらいまでなら運営代行や清掃代行を利用しなくても出来ます。
しかし、主業を別でされているなら少なくとも清掃洗濯代行は依頼しなければ、1室でも厳しいと思います。私の経験では、清掃洗濯は代行業者に任せられた方がいいと思います。
清掃洗濯は1回2~3時間かかり、事務所と民泊物件を往復する時間も考えると1回の清掃洗濯で半日潰れますので、数室運営されてますと、1ヶ月の半分以上を清掃洗濯で時間を費やすような状態になり、事業運営にかける時間が全くなくなってしまいますので注意してください。


⑷月間250,000円売上が上がれば事業としてひとまず成功!最低ラインは月間200,000円。
下記「合計」では、(1)全て自分でするケース、(2)清掃洗濯のみ代行に依頼するケース、(3)運営代行も清掃洗濯代行も依頼するケース、の3とおりで表示します。

合計:

(1)全て自分でするケース:35,000~45,000円

(2)清掃洗濯のみ代行に依頼するケース:70,000~85,000円

(3)運営代行も清掃洗濯代行も依頼するケース:130,000~220,000円



ですので、私のおすすめの、「(2)清掃洗濯のみ代行に依頼するケース」で考えると、1ヶ月の経費は70,000~85,000円ですから、1ヶ月の売上が250,000円出せれば180,000~200,000円程度の利益が出ることになります。
これを1年間すれば2,160,000~2,400,000円利益が出ますので、初期投資も1年で償却出来、後は月間190,000円程度の利益を生み続ける物件となります。

⑪民泊物件は購入の方がいい?賃貸の方がいい?

⑪可能なら融資を受けてでも、購入の方がよいと思います。

(a)そもそも賃貸は、民泊ができる条件の良い物件が非常に少ない!
お客様の投資出来る資金によって違いますが、可能なら融資を受けてでも購入の方がよいと思います。
理由としましては、大阪市では賃貸で貸主が民泊OKという物件自体がかなり少なく、出てもすぐに1週間程度で借り手がついてしまいます。


(b)転貸借物件の場合、相場の2倍近い賃料の物件もある!
そのような「出せば借り手がつく状況」ですから、民泊OK物件は転貸借なども多く、賃貸相場の1.5~1.8倍などの賃料で出されているケースが多いです。
例えば駅から徒歩10分で40㎡程度のアパートでも、通常でしたら75,000円くらいで賃貸出来るものが、民泊するなら135,000円などという賃料で取引されていることも多いのです。

上記Q⑩で示したケースに当てはめると、1ヶ月200,000円程度の売上が出る物件だった場合、光熱費やwifi、ゴミ収集費、清掃洗濯費が75,000円+賃料135,000円となると経費の合計が210,000円となり、差引10,000円の赤字になってしまうということです。
さらに初期費用も、賃貸の場合、賃貸契約してから民泊許可が取れるまで最短でも2ヶ月、通常3ヶ月程度かかることも多いので、フリーレントにしてくれなければ3か月分程度の賃料が営業開始前に余分に必要となります。
賃料相場の1.2~1.4倍程度でしたら検討されてもよいかもしれませんが、賃貸はなかなか厳しいという印象です。


(c)購入だったらじっくり選べるので、契約してから後悔することが少ない!
対して購入ですと、そもそも自分が持ち主ですから民泊OKなどという概念自体ありませんので、ゆっくり物件選定が出来、また毎月の賃料支払いが無い為毎月確実に大きな利益を確保出来る可能性が高くなります。
その為、購入の方をお勧めしますが、お客様の状況によって賃貸も検討されてもよいかと思います。
 

⑫転貸借とは何でしょうか?

⑫物件のオーナーAから、Bという者が物件を借り、そのBからさらにCが借りるというようなケースをいいます。

この場合、Aから直接Cが賃貸した場合に比べ、2つのデメリットがあります。


(a)賃料が高くなるというデメリットがある!
AがBに70,000円で賃貸した場合、BはCに対して70,000円以上の金額で貸さなければ儲けがでませんので、例えば90,000円とかで転貸します。でもAからCが直接借りれば70,000円で済むわけですから、間に入る人間が増えるほど民泊の為に物件を借りたい方にとっては、支払わないといけない賃料が多くなるという点が1つ目のデメリットです。


(b)自分はしっかり賃料を払っていても、賃貸契約が解除されるかもしれない
Cが契約通りにBに賃料を払っていても、BがAに賃料を払ってなければ、Cの転借権もなくなってしまうので民泊途中でもCは退去しなければならなくなる危険性があります。
この場合、AはCに対して「BがAに対し賃料を払ってないので、このままだとCは出て行ってもらわなくてはならないので、Bに支払うように言って下さい」というような事前連絡をする義務はないのです。
ですからいきなり退去を迫られる危険性もあります。


以上2点のデメリットがありますが、現在の大阪市の民泊OK物件の賃貸の35%程度はこの転貸になっている印象です。
しかも間に1社だけではなく、何社も噛んでいるケースも相当数あります。
ですので賃貸契約をなさる際は、このリスクも踏まえたうえで、それでもやる魅力のある物件かどうか検討される方がよいと思います。

⑬民泊仲介サイトは最低どこを使用すればいい?

⑬⑴Airbnb、⑵Agoda、⑶booking.comの3件がよいかと思います。

民泊運営代行会社はサイト上で8~10件ほどの民泊仲介サイトを使って集客するとうたっていますが、ご自身でする場合、登録するだけでも大変ですし、そもそも管理が出来ないです。
ですので最初はせいぜい民泊仲介サイトは3件程度にした方がよいと思います。

その3件ですが、特区民泊の場合、じゃらんや楽天トラベルは登録出来ませんので、⑴Airbnb、⑵Agoda、⑶booking.comの3件がよいかと思います。

理由としては、



⑴Airbnbは、最大手の仲介サイトで、かつ、初心者向けで使いやすい!
「民泊イコールAirbnb」と言われる程、誰でも知っている最大手の仲介サイトであり、また登録も簡単で、登録後の運営フォローも手厚いので、民泊運営の勉強という意味でも、初心者はまず使った方がよいでしょう。
サイト内で決済もしてくれます。ただ宿泊価格が低いという点が問題点です。


⑵Agodaはアジア系の集客に強く、宿泊単価もAirbnbより高い!
Agodaは、アジア圏の集客に強みがある仲介サイトです。
日本を訪れる旅行者の80%は中国・香港・台湾・韓国を筆頭としたアジア諸国の方です。ですからアジアに強みがある仲介サイトは外せません。サイト内で決済もしてくれます。
宿泊価格はAirbnbよりは高いです。



⑶booking.comは、使い勝手は良くないが、宿泊単価が高く、集客力も高い中級者向けのサイト!
booking.comは、私が運営していた際は、最も集客力も宿泊価格も高く取れていた仲介サイトです。
またbooking.comはAirbnbやAgodaと比べ、日本人旅行者の利用率も高かった(宿泊者の50%程度が日本人だった物件もあります)ので、日本人にも認知度があるサイトのようです。
集客力があり、宿泊価格も高く、客質のよい日本人の集客も出来るという点で絶対に外せない仲介サイトです。

問題点は、登録が少し難しいことと、booking.comは原則サイト内で決済が出来ない為、別の決済サイト(Square (スクエア))等を使用して決済しなければならないという不便さがあります。
私が運営をしていた際も、顧客から頂いたカード番号で決済が出来ないというトラブルが3回ほどあり、メールのやり取りをしていると、そのまま予約日が来て、無断キャンセル(ノーショー)になり、キャンセル料も取れないまま逃げられたということがありました。
この点、予約時点でサイト内でカード番号の有効性が確認されているAirbnbやAgodaでしたら、キャンセルポリシーに則ってキャンセル料は入金されますので便利です。

⑭集客の為に力をいれるべきことはなんでしょうか?

⑭運営開始前は掲載する写真をキレイに撮ること。運営開始後はレビュー管理を徹底的に行うことです。

(a)写真はプロに撮影してもらいましょう!
ゲストは写真を見ることでしか部屋のイメージは出来ません。
清潔でキレイな雰囲気の良い部屋の写真を掲載することにお金をかけましょう。
自分で仲介サイト登録する場合でも、写真だけは絶対に、お金をかけプロのカメラマンに納得できる写真を撮ってもらうべきです。


(b)ゲストには直接「良いレビューを書いて!」とお願いしましょう!
また運営開始後は泊まって頂いたゲストが書くレビューと、☆の数が全てです。
Airbnbでは一定の高い条件(4.8つ星以上の評価があり、ゲストの50%以上がレビューを書いているなど5項目)を満たしているとスーパーホストに認定され、検索の上位に部屋が掲載されやすくなったり、スーパーホストの部屋という検索も出来るので、予約が入りやすくなります。

またbooking.comでは5件以上のレビューが貯まれば部屋のリスティング画面にレビューが掲載されることになります。
ゲストが見るのは部屋の写真と、ゲストのレビューです。レビューの無い部屋には中々予約は入りませんので、少なくとも5件くらいの良いレビューが貯まるまでは、泊まってくれたゲストにはメールや鍵の受け渡しなどの際に丁寧にフォローをし、良いレビューを書いて欲しい旨もちゃんと伝えておきましょう。

日本人の気質として、そういうお願いは厚かましいと感じるかもしれませんが、外国人の方はまったく気にされません。
逆に、言わないとなかなか書いてくれませんのでどんどん言ってください。

⑮2020年4月から周辺住民への説明会の開催が必須となったと聞いたのですが?

⑮はい、2020年4月1日申請分から周辺住民の方への説明会の開催が必須となりました!

流れとしては、
説明会の少なくとも1週間前までに、物件から10-20m以内の建物に居住されている住民の方に民泊についての説明会開催の通知を配布するとともに、民泊物件の入り口にもその開催通知を掲示する

⑵住民説明会で、以下の項目を説明するとともに、周辺住民からの質問に対応する。
・民泊申請者の氏名.住所
・民泊施設の名称.所在地
・民泊事業内容
・24時間対応可能な苦情窓口責任者の氏名.電話番号.メールアドレス.標識掲示場所.住民説明に関する問い合わせ先(苦情窓口と同一人でOK)
・ゴミの処理方法
・騒音防止策
・火災時の対応方法

⑶住民説明会に不参加だった周辺住民への②の項目についての説明文書配布
→住民説明会の開催案内に、②の項目が記されていれば再度の配布は不要

⑷住民説明会の開催結果を記した書面と、開催案内を民泊物件に掲示したことを証する写真を添え特区民泊申請を行う

というスケジュールになります。
当然ながら参加される周辺住民の方からの質問に対して納得頂ける回答などを準備する必要があり、納得頂けない場合に一定期間誠意をもって説明を継続したりする必要が出てくるため、間違いなく今までより大変になります。
民泊関連法令の専門職である行政書士の説明会への同席は今後必須になると思われます。

⑯3階建て戸建てでの民泊が出来るように変わったと聞きましたが本当ですか?

⑯階段部分に必要な工事を行えば、3階に寝室を設けることが可能になりました。

今までは3階部分に民泊の寝室を設ける場合は、耐火建築物でなければならないとされておりましたが、一般住宅で耐火建築物である可能性はほぼ0であった為、3階建て戸建てで民泊をしようとすると、3階部分を塞いで1~2階のみで民泊をするという選択肢しかありませんでした。

そのような問題を改善する為、2019年6月の建築基準法が改正され、3階建ての建築物で民泊をする場合あっても、延べ床面積が200㎡未満で、かつ「必要な措置」を講じることで耐火建築物でなくてもよくなりました。

「必要な措置」とは大阪市では、警報器の設置かつ、竪穴部分と、それ以外の部分とが間仕切壁と戸(開き戸でも引き戸でも可・防火性能は不要だが、遮煙性能は必要:ふすまや障子は不可)で区画されていることが設置されていることを指します。
警報器に関しては、普通に消防法令に従った自動火災報知設備を設置すれば足ります。

※竪穴部分とは、階段部分等を指します。
立法趣旨としては「ある階で火事が発生した場合に、煙が他の階の居室にすぐに回るのを防ぐ区画を作る」ことです。
方法は2つで、
1~3階の階段部分すべてを
①階段部分を直接遮煙性能のある戸でふさぐか?
②階段ホール部分から直接入れる部屋を全部遮煙性能のある戸でふさぐか?
のどちらかになります。

①の方法は階段ごとに扉を設置するだけですので、1階ごとに1~2個の扉設置で済むので費用は安くなりますが、階段すぐに扉が張ってあるのは圧迫感がありますので、宿泊施設としての魅力は下がる可能性があります。
②の方法は階段ホールから部屋につながるところ全てに扉設置が必要ですので費用は高くなりますが、通常の物件と同じで圧迫感は出ませんので、宿泊施設としての魅力は下がりません。

ですから実務上は、1円でも費用面を抑えざるを得ないというような状況でなければ原則②を使って、間取り上①にせざるを得ない箇所のみ例外的に①にするという方法がよろしいかと思います。

そしてそのような竪穴区画の扉設置の工事が費用面で難しい場合は、3階を寝室として使用しないという運用を選ぶということになります。