⑴留学ビザを就労ビザに変えたい

①「技術・人文知識・国際業務」ビザへの変更

日本で正社員等で勤務する場合の最もポピュラーな在留資格で、この資格の上位資格が「高度専門職」です。

  1. 【技術】「IT技術者や、機械技術者、薬品の開発技術者等の業務」
  2. 【人文知識】「単一の仕事のみではなく、将来的に会社の様々な職に就くことを予定されている、いわゆる総合職の業務」
  3. 【国際業務】「翻訳・通訳業務、語学指導業務、貿易等海外取引業務、広報・宣伝業務、デザイン業務などで、外国の文化や感受性を必要とする業務」

以上3つの在留資格が一つに纏められているのが「技術・人文知識・国際業務」の在留資格ですが、お客様の従事しようとしている仕事の内容によって、【人文知識】の立証が必要なのか、【国際業務】の立証が必要なのか、【技術】の立証が必要なのか違います。

 

<条件>

以下①②の両方の条件を満たす必要があります。

①就職予定の業務について一定の知識、又は経験があること。

具体的には以下1.2.3のいづれかに該当する必要があります。(国際業務の場合は、以下4に該当する必要があります)

1. 就職予定の業務に関連する科目を専攻して大学(短期大学含む)を卒業、又はそれと同等以上の教育を受けたこと。なお、専攻科目と、従事する予定の業務が一致していることまでは必要なく、あくまでも関連していればよい。関連性は比較的広く認めてもらえます。

2. 就職予定の業務に関連する科目を専攻して、日本の専修学校の専門課程を修了し、専門士又は高度専門士と称することができること。

3. 就職する業務について、他社で10年以上の実務経験があること(大学や専修学校、高校等で当該技術・知識に係る科目を専攻した期間は、上記10年に含むことができる)。

(国際業務のみ) 4. 就職予定の業務に関連する業務の実務経験が、他社で3年以上あること。 ただし、大学を卒業した者が母国語を使用した「翻訳・通訳業務、語学指導業務」に就く場合は実務経験不要。

【技術】の主な専攻学科

数理科学、物理科学、化学、生物科学、人類学、地質科学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核科学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用化学、資源開発工学、造船学、計測制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、蚕糸学、家政学、地域農学、農業総合科学、生理科学、病理科学、内科系科学、外科系科学、社会医学、歯科学、薬科学

【人文知識】の主な専攻学科

語学、文学、哲学、教育学、体育学、心理学、社会学、歴史学、地域研究、基礎法学、公法学、国際関係法学、民事法学、刑事法学、社会法学、政治学、経済理論、経済政策、国際経済、経済史、財政学・金融論、商学、経営学、会計学、経済統計学

?

②日本人が同種の業務に従事する場合に受け取る報酬と、同等額以上の給料を受けること。

この、「給料」には、通勤手当,扶養手当,住宅手当等(課税対象となるものを除く)は含みません。 もし、同種の業務に従事する日本人より給与が少ない場合、その理由の説明が必要となります。ただし、説明しても合理的理由がない限り不許可になる可能性が高いです。また、1か月の給料の額として具体的な金額を入国管理局は示しておりませんが、下記許可、不許可事例等からすると、少なくとも月額180,000円以上はあった方がよいと思われます。

◆給料額に関する許可事例:

(ⅰ) 大学(工学部)を卒業した者が,電機製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき,月額23万円の報酬を受けて,技術開発業務に従事するもの。

(ⅱ) 大学(経営学部)を卒業した者が,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万円の報酬を受けて,翻訳・通訳に関する業務に従事するもの。

(ⅲ) 大学(法学部)を卒業した者が,法律事務所との契約に基づき,月額19万円の報酬を受けて,弁護士補助業務に従事するもの。

(ⅳ) 建築室内設計科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦の建築設計・設計監理,建築積算を業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万5千円の報酬を受けて,建築積算業務に従事するもの。

(ⅴ) 国際IT科においてプログラミング等を修得して卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦の金属部品製造を業務内容とする企業との契約に基づき,月額19万円の報酬を受けて,ホームページの構築,プログラミングによるシステム構築等の業務に従事するもの。

(ⅵ) 電気工学科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦のTV・光ファイバー通信・コンピューターLAN等の電気通信設備工事等の電気工事の設計・施工を業務内容とする企業との契約に基づき,月額22万円の報酬を受けて,工事施工図の作成,現場職人の指揮・監督等に従事するもの。

(ⅶ) 大学(教育学部)を卒業した者が,語学指導を業務内容とする企業との契約に基づき,月額17万円の報酬を受けて,英会話講師業務に従事するもの。

?

◆報酬額に関する不許可事例:

(ⅰ) 大学(工学部)を卒業した者から,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて,エンジニア業務に従事するとして申請があったが,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから,報酬について日本人と同等額以上であると認められず不許可となったもの。

(ⅱ) 専修学校(日中通訳翻訳学科)を卒業し,専門士の称号を付与された者から,本邦の漆器製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき,月額12万5千円の報酬を受けて,中国語翻訳・通訳,漆器の塗装補助業務に従事するとして申請があったが,~~中略~~ 申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額17万円であることが判明したため,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

<在留期間>

上場企業や国・市役所などの公的機関、正社員の従業員が100名以上の企業などでの正社員としての就職であれば最初から3年間、又は5年間のビザが許可されるケースが多いです。

正社員の従業員数が20名未満の会社や店などでの就職の場合は、「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更1回目であれば、1年間のビザになる可能性が高く、その後問題なく1年経過後更新した場合は、会社の内容によって1年間又は、3年間のビザとなります。

<注意点>

①専修学校卒は、業務と専攻科目の関連性が高くなければ許可がとれない!

(a)大学卒や、国際業務の実務経験は、業務との関連性が低くても許可がとれることもある!

「就職予定の業務に関連する」という表現が、条件①の1.(大学卒業)、2.(専修学校)、4.(国際業務の実務経験)の3か所で出てきますが、1.(大学卒業)と、4.(国際業務の実務経験)における「関連性」は比較的緩やかな一致で認められますが、

 

(b)専修学校は業務との関連性が低いと許可は厳しい!

2.(専修学校)における「関連性」は厳格な一致が求められます。ですので、専修学校を卒業し、就職する場合は、専攻科目と就職する業務が客観的に見てかなり近いと思われる仕事を選ばなければ在留許可が取れないとお考え下さい。

 

 

②中小企業が今まで設けていなかった職種で雇用する場合は注意!

(a)従業員12名程度の店では、総務職専任でするほどの仕事量はないだろうという判断が!

専修学校卒業者の不許可事例で、以下のようなものがあります。

「専修学校(情報システム工学科)を卒業し,専門士の称号を付与された者から,本邦の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき,月額25万円の報酬を受けて,コンピューターによる会社の会計管理(売上,仕入,経費等),労務管理,顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが,会計管理及び労務管理については,従業員が12名という会社の規模から,それを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと,~以下略~。」

日本料理店で会計(労務)管理業務に従事するとして、「技術」としての在留資格を目指したが不許可になっています。入国管理局としては、12名程度の従業員しかいない日本料理店で、フルタイムで会計(労務)管理をする程、その業務量がないでしょう?実際は調理接客を主にするつもりではないですか?という疑いをもたれたということで不許可になったわけです。

 

(b)あたらしく創設した職種で外国人を雇用する場合、入国管理局を説得できるだけの資料をそろえてください!

虚偽の業務内容を申告することはもちろん論外ですが、何とかその外国人を雇用したいと考える会社が、在留資格に該当するであろう職種を設け、実際にその職種に就けようとしたとしても、小規模の企業の場合、このような疑いをもたれ不許可になる可能性はあります。このようなケースでどうしても申請したいと考える場合は、入国管理局を説得できるだけの資料(例えば、今までアウトソーシングしていた会計(労務)監理に関する委託費の明細と、今度就職する人物の報酬を比較し、報酬の方が「得になる」というような比較表や、

今までは店主が調理、接客と並行し、会計(労務)監理を行っている場合で、その店主が1ヶ月に会計(労務)監理に費やしていた時間を割り出し、それが1人の従業員のフルタイムとして勤務しなければならない程の手間になっているという疎明、及びその時間を店主が商品開発や接客に振り替えることにより想定される利益など)の提出が最低限必要です。

 

 

③通訳翻訳業務として許可をとったなら、原則それ以外の業務はさせてはダメ!

よくあるケースとしては「通訳翻訳業務」です。<条件>①の4.でも示したとおり、大学を卒業した者が母国語をしようした「翻訳・通訳業務、語学指導業務」に就く場合は実務経験不要!という、大学さえ卒業していれば「技術・人文知識・国際業務」のビザの中でも最も取りやすい条件と言えます。

そのため、海外との取引があるような企業や、外国人客への接客などが業務に含まれる会社などが外国人雇用をする際に使いたくなる方法なのですが、例えば、ホテルなどで外国人への接客が70%、日本人への接客が30%などの業務の場合でもこの条件には該当しません。具体的な数値は入国管理局は発表していませんが、90%以上は在留資格該当業務に従事するのでなければ資格該当性は認められないでしょう。

ですので、就職する会社の事業が完全に貿易業や通訳翻訳業、外国語教育の会社などでないのであれば、在留許可申請する時点で、会社に協力してもらえるなら、会社の業務内容のパンフレットはもちろん、当該会社における申請者の業務が100%通訳翻訳であるという証明や、通訳翻訳業務の業務量の客観的資料なども合わせて提出した方がスムーズですし、入国管理局も審査がしやすいです。特に就業予定日が迫っているような場合、追加資料提出指示が入るとさらに時間が延び、就業予定日までに許可が下りず勤務開始できない危険性もありますのでご注意下さい。

 

 

手続きの流れ

①行政書士による無料相談

⇒お客様の今までのご状況と、希望する在留許可種類を詳しくお聞かせください。その上で希望されるビザが取得出来る可能性があるか?取得する為に不足する要件は何かを調査し、手続き費用とともにご説明させて頂きます。その内容でよろしければ契約手続きを行います。

②契約手続き

⇒速達郵便、又は面談で在留許可申請の契約をさせて頂きます。契約時点では面談は必須ではありませんが、入国管理局へ申請するまでに1回は依頼者様と行政書士が直接面談をする必要が御座います。

③書類作成・収集

⇒在留許可申請に必要な書類を作成、収集します。依頼者様にご用意頂く書類もご案内しますので、期限までに収集し当職にお渡しください。

④入国管理局へ在留許可申請提出

⇒行政書士が入国管理局に在留許可申請書を提出します。ご本人の出頭は原則不要です。

<①相談から④入国管理局への申請まで、更新申請なら20~30日程、在留資格認定証明書交付申請・変更申請・永住許可申請なら30~45日程度で可能です>


(入国管理局から指示があった場合)

⑤追加指示書類作成提出

⇒在留許可申請を提出した後、入国管理局が必要と判断した書類を追加で提出するよう指示が来るケースが御座います(この追加指示書も当所に届きます)。こちらも当職が、「なぜその書類が必要か」という意図を入国管理局に確認の上収集し、期限までに提出します。この際、お客様にあつめていただく必要がある書類もありますのでご協力ください。この追加書類提出指示を放置した場合、ほぼ不許可となります。

⑥在留許可通知又は、不許可通知到着

⇒入国管理局より在留許可又は、不許可通知が当所に到着します。

大阪入国管理局の許可の場合は「通知書」というハガキ1枚が届きます。

不許可の場合は必ずではないかもしれませんが、永住ビザの場合は「通知書」、在留許可変更申請又は在留期間更新申請の場合は「出頭通知書」と書かれた書面が入国管理局の封筒に入って届きます。どちらの場合でもすぐ依頼者様にお知らせします。

(許可の場合)

⑦-1 報酬・手数料受取の後、在留許可書類受取り

⇒当所ではこの時点ではじめて報酬及び、入国管理局に納付する手数料を頂戴します。例えば【技術・人文知識・国際業務】への在留資格変更申請の場合は、95,000円×消費税(8%)+4,000円(入管へ納付する手数料)=102,600円をお支払い頂き、その後すぐに当職が入国管理局へ出頭し、新しい在留カードを受取り、お客様にお渡しします。

(不許可の場合)

⑦-2 ご本人様と共に入国管理局へ出頭同行

⇒不許可の場合は一切費用を頂きません。しかしその場合でも最後まで対応させて頂きます。

永住許可申請の不許可の場合は、入国管理局に不許可の理由を確認し、ご依頼者様にわかる範囲で理由と、その理由が解消し再度の永住許可申請が出来るであろう時期をお知らせします。

そして、既に前の留学ビザ等の期限が到来している場合は出頭通知が届きます。この場合、行政書士がご本人様と共に入国管理局に出頭同行させて頂きます。出頭通知の場合は、ほぼ在留許可の更新や変更が不許可である旨と、出国準備のための特定活動ビザ(30日間)への変更を勧められます。この場合は、まず出国準備のための特定活動ビザに変更したうえで、再申請できる余地がありそうであれば在留許可の再申請を、余地がなさそうな場合は一度出国して頂き、また資格要件を満たせた時点で、在留資格認定証明書の交付を受け入国して頂くことになります。どちらにせよ放置だけは絶対になさらないでください。

オーバーステイをすると退去強制事由に該当してしまい、国外退去の上、最悪の場合10年は日本に入国することが出来ませんし、その後もお客様の出入国記録にオーバーステイの記録は残り続けますので、日本のビザ取得が困難になります。

②「特定活動46号(日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務)」ビザへの変更

※2019年7月5日追加


日本にある会社(支店も可)で、日本語を主に使用する業務全般です。

今まで正社員で働くための就労ビザは「①の技術・人文知識・国際業務」などしかありませんでした。
しかしこの「技術・人文知識・国際業務」ビザは職種がある程度限定されていて、一般的な仕事には該当しないことも多くありました。
例えば、ドラッグストアで販売を行う行為や、飲食店で接客を行う行為、食品製造工場のラインで働く行為や、会社の総務部で一般職で働く行為などの場合は、そのままではこの「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当しない場合が多く、せっかく大学を出たのに就労ビザが取れず帰国を余儀なくされるという方も多くありました。

それに対し今回新設された「特定活動46号」ビザは、日本の4年生大学を卒業し、かつ、日本語能力検定試験N1又はBJTビジネス日本語能力テスト480点以上を取得した外国人であれば、上記のような単純労働と言われる仕事でも就労ビザを取得できる可能性のあるものです。

※まだ2019年5月30日に法務省からこの特定活動46号ビザが発表されたばかりですので、実例や判例がない為、現時点で判明しているレベルの内容を記載します。

<条件>

以下①~⑥全ての条件を満たす必要があります。

①日本の4年制大学以上を卒業していること。

「日本の大学」であることと、「4年制以上の」大学であることが求められますので、短期大学卒業や専修学校卒業ではダメですし、海外の4年制大学でもダメということになります。
 

②日本語能力検定試験N1、又はBJTビジネス日本語能力テスト480点以上を取得していること。

このビザの定義が「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」ですから、日本語で円滑に意思疎通が出来なければならないのでN1のレベルが求められます。今後、日本で就労することを目的として4年制大学に留学される外国人の方は、この日本語能力検定N1又は、BJTビジネス日本語能力テスト480点以上は必須で取得された方が仕事の幅が大きく広がるでしょう

③フルタイムの正社員であること。

パート・アルバイト・派遣社員ではダメということです。
またガイドラインには「社会保険の加入状況もチェックする」と記載されている為、社会保険に加入していない事業所ではビザが認められない可能性があります。
 

④日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けること。

この、「給料」には、通勤手当,扶養手当,住宅手当等(課税対象となるものを除く)は含みません。 もし、同種の業務に従事する日本人より給与が少ない場合、その理由の説明が必要となります。ただし、説明しても合理的理由がない限り不許可になる可能性が高いです。また、1か月の給料の額として具体的な金額を入国管理局は示しておりませんが、少なくとも月額180,000円以上はあった方がよいと思われます。

 

⑤みずから他の従業員や顧客に働きかけることの出来る職種であること。

少し分かりにくい表現ですが、出入国管理庁のガイドラインによれば、ただ雇用主や上司から指示される内容を理解して業務を行うだけではダメで、例えば、ドラッグストアでの勤務であれば、通訳を兼ねて外国人客に対し販売をおこなったり、工場であれば、上司から受けた指示を他の外国人労働者や技能実習生に伝達指導するなど、ただ単純作業を行うだけでなく、加えて自分から能動的に客や他の従業員とやりとりする作業が含まれなければダメということです。

 

⑥従事する予定の業務の中に、「技術・人文知識・国際業務」ビザの者が行うレベルと同等以上の業務を含むこと。

工場のライン作業や清掃、ホテルのベルマン、飲食店での接客など、いわゆる単純作業のみしか従事する予定がない業務ではダメで、
業務内容の半分程度は、「技術・人文知識・国際業務」ビザの者が行うレベルの業務、いわゆる機械製作や修理、ホームページ制作や管理等IT技術、企画立案、通訳翻訳や貿易、服飾デザイン、語学指導などが含まれるか、もしくは総合職のように、入社時典では現場を知るために工場のライン作業に従事させるが、近い将来営業職など別の職種に移り様々な経験を得て幹部候補として育てる予定など、今後単純作業ではない業務の従事させる予定のあるものであることが必要です。

「技術・人文知識・国際業務」の場合は90%以上は、該当業務に従事させなければならないというレベルからすると、かなり緩和されたと言えます。
※ガイドラインでは「技術・人文知識・国際業務の対象となる業務が含まれること」とのみ書かれており割合は含まれていない為、50%というのはあくまで当職の推測です。

<在留期間>

上場企業や国・市役所などの公的機関、正社員の従業員が100名以上の企業などでの正社員としての就職であれば最初から3年間、又は5年間のビザが許可されるケースが多いです。

正社員の従業員数が20名未満の会社や店などでの就職の場合は、「特定活動46号」への在留資格変更1回目であれば、1年間のビザになる可能性が高く、その後問題なく1年経過後更新した場合は、会社の内容によって1年間又は、3年間のビザとなります。

<許可例>

①飲食店で、日本人客や外国人客に対する通訳をかねた接客に従事するケース。

②工場のラインにおいて、日本人上司から受けた作業指示を、他の外国人労働者や技能実習生に伝達指導を行い、自分もラインに入り単純労働に従事するケース。

③小売店で、仕入れや商品企画、日本人客や外国人客に対する接客販売に従事するケース。

④ホテル旅館にて、翻訳をかねてホームページ制作や更新作業とともに、ドアマンやベルスタッフとして日本人客や外国人客に対する接客に従事するケース。

⑤タクシー会社で、集客の為の企画立案を行うとともに、自らタクシードライバーとして日本人客や外国人客を乗せて乗車勤務するケース。

⑥介護施設で、技能実習生や他の外国人労働者へ指導を行いながら、通常の介護業務に従事するケース。

※いづれの場合も、客、他の従業員問わず、対人コミュニケーションを伴わない作業のみの場合は許可出来ないと記載されていますので、注意が必要でしょう。

<注意点>

①家族の帯同OK

ガイドラインによると、特定活動46号ビザの方の、配偶者や子供は「特定活動47号」ビザで滞在可能となっております。扱いとしては「技術・人文知識・国際業務」の配偶者等のビザである「家族滞在」と同様の、就労不可のビザと思われます。これは、単純労働ビザと言うべき、技能実習ビザや特定技能ビザには認められていません。

 

②単純労働の業務割合には注意が必要

「技術・人文知識・国際業務」ビザに比べれば従事する業務範囲は広く出来ますが、特定活動46号ビザ申請時に提出した内容を大きく逸脱する作業をし続けると、やはり不法就労罪に問われます。労働者はもちろん、会社様側も「ビザを取ったら後は何しても大丈夫」というような考えは絶対に持たず、入国管理局に提出した作業内容と割合を守り、もし変更する場合は、行政書士に相談の上、必ず入国管理局に報告をして下さい。一度不法就労助長罪で罰金などを受けると、その後しばらくは外国人を雇用できなくなります。

③「経営管理」ビザへの変更

日本にある会社(支店も可)の、代表取締役、取締役又は管理者として行う業務です。

なお、「管理者」とは、原則的に支店長・工場長・部長職以上の役職を指し、実質的にも事業の管理を行っているということが確認できるものである必要があります。ビザを取らせるために、役職だけ与えて、実際は管理をさせていないと判断出来る場合は認められません。

<条件>

経営者の場合は①②の条件を、

管理者の場合は①②③④全ての条件を満たす必要があります。

①会社が日本国内に実際に存在すること。

ただし、まだ事業が開始されていない場合は、事業を行うための事務所となるべき場所が確保されていること。この場所とは、レンタルオフィスでも個室で社名看板が掲示できるタイプであれば認められるケースが御座います。申請には、確保できている証明として賃貸借契約書等が必要となります。

②会社の事業規模が一定以上であること。

具体的には、以下1.2.3のいづれかに該当する必要があります。

1. 代表取締役・取締役・管理者以外で、常勤の従業員が2名以上いること。ただし、その従業員は「日本人」「永住者」「日本人(永住者)の配偶者等」「定住者」のいづれかである必要がある。

2. 会社の資本金額又は、出資の総額が500万円以上であること。

3. 上記1.2と、同視できるような規模であると認められるものであること。

※3の例としては、常勤の従業員が1名のみだが、他に250万円の資本金が投下されている場合などを指します。この250万円という金額は、もう一人常勤の従業員を雇用した場合必要とされるであろう金額の目安です。

 

(申請人が事業の「管理者」としてビザを取ろうとする場合)

③事業の経営や管理について、3年以上の経験(大学院において経営管理に係る科目を専攻した期間も含みます)があること。

この条件は経営者の場合は必要ありませんが、本当にその事業を経営しようとしているという証明の一つのプラスポイントになりますので、経営者の場合でも事業の経営や管理の経験があるのでしたら入国管理局への報告すべきです。なお、経営経験の場合は、役員をしていたのであれば会社の謄本で足ります。

管理経験の場合は、原則その会社に勤務証明書を出して頂く必要が御座いますが、既に退職している為、関係が悪化しており出してもらえない場合は、当時の給与明細等の書類で代わりに出来ないかを検討することになります。

 

(申請人が事業の「管理者」としてビザを取ろうとする場合)

④日本人と同等額以上の報酬を受けること。

この条件も経営者の場合は必要ありませんが、本当にその事業を経営しようとしているという証明の一つのプラスポイントになりますし、そもそも収入を得るために事業を経営するのですから、無報酬の経営者というのは不自然でマイナスポイントと言えます。設立当初から経営者が報酬を受け取ることは難しいですが。ですから経営者の場合でも報酬があるのでしたら入国管理局への報告すべきです。入国管理局から金額の目安は出ておりませんが月額20万円以上が望ましいと思われます。

 

<注意点>

①コックの方、マッサージ師の方の実務(調理)と経営の両立は、認められにくくなってきている。

(a)入国管理局の審査要領には、両立してもよいと書かれている。

例としては、中華料理のコックさんが独立して自分の店を開業するケースです。この場合、経営者も自分で、コックさんも自分となるのが普通でしょう。では、ビザとしては【経営管理】でいけるのか?【技能】でいけるのか?という問題です。

入国管理局の審査要領には、「経営管理に従事する者が、純粋な経営管理に当たる活動の他、その一環として行う現業に従事する活動は、「経営管理」の在留資格の活動に含まれる。ただし、主たる活動が現業に従事するものと認められる場合には、「経営管理」の在留資格は認められない。」と定められています。要約すると、経営管理ビザを取得する場合、業務の60%以上が経営活動であれば、残り40%がコックとして調理していてもよい。という意味になります。

 

(b)近年、入国管理局の姿勢が変わり、経営をするなら調理はしてはダメとなってきた!

しかし、近年の入国管理局の方針は、在留資格【経営管理】なのであれば、本人は調理はしてはならない。そして、在留資格【技能】として、本人がコックをするなら経営管理は別の誰かに任せないとならない、ということを結構厳格に捉えています。

ただ、現実的には、独立開業したばかりのコックさんは、自分の料理が商品であり強みであるわけで、商品がないのに経営なんてしている場合ではないですし、せっかく独立したのに経営者を他人にしてもらったら独立した意味がないですし、呼んできた経営者にも報酬が必要となれば余分な経費を負担することになります。しかし、このように言われるケースが多くなっています。今まで問題なくコックをしながら経営管理ビザを受けてきた方も更新時に、「次回更新までにコックの従業員を雇うか、経営を誰かにやってもらえなければ更新出来ない」と言われるケースも多く出てきています。

 

(c)奥様を経営者、自分はコックさんとするしか方法がないかも。

この場合、ご結婚されていれば、妻(又は夫)を経営者として【経営管理】ビザを取ってもらい、自分は従業員として【技能】ビザでコックをし、コックを雇えるようになれば自分が【経営管理】ビザで経営者になるという方法がベターと言えばベターですが、コックの方が独立する場合の悩ましい問題となっています。

 

 

②複数の方が経営者(管理者)になる場合は厳しく審査する!

(a)小さい会社なのに、なぜ何人も経営者が必要なの?という考え方

複数の方が一つの会社の経営者(管理者)として経営管理ビザを申請する場合、本当にそれだけたくさんの人数が経営者(管理者)として必要なのかを証明できる資料の提出が必要です。これは、経営管理ビザが、日本に在留したいが、方法が無い方の隠れみのになってしまっているという問題があり、そうさせない為の入国管理局の防御策という一面があります。

例としては、留学ビザで専修学校などを卒業した後、技術・人文知識・国際業務ビザで就職することが出来なかった場合、親元からお金を出してもらって、とりあえず会社を設立し、経営者として経営管理ビザで在留するという手法です。更にその外形だけの会社の共同経営者として、同じ境遇で日本に在留したいの方に経営管理ビザを取らせるという方法ですが、経営者又は管理者としての業務の実態がないのに、ビザを取る為だけに形だけ取締役にしたりする行為は入国管理法上当然ながら違法でⅰ。

 

(b)共同経営者の場合のみ、相当の報酬を受けることが条件になっている!

(ⅰ)事業の規模・業務量を考えて、それぞれの外国人が事業の経営や管理を主たる活動として行うことの合理的理由が認められること。

(ⅱ)事業の経営や管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること。

(ⅲ)それぞれの外国人が、業務の対価として相当の報酬を受けることとなっていること。

入国管理局は、以上(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)の全ての条件が整っていれば、共同経営者であるそれぞれの外国人は【経営管理】ビザを認めるとしています。通常、経営者の場合は、報酬の有無は在留許可の条件に入らないのですが、共同経営の場合は経営者の場合にも報酬を受けることを条件として求めることになっています。

 

③真剣に事業をしようという姿勢をみせるために、出資はしたほうがよい!

(a)本人の出資は、経営管理ビザの条件ではない。

平成26年の法改正により、【投資経営】ビザは【経営管理】ビザに変更となりました。旧【投資経営】ビザは、必ず本人が会社に対し出資(投資)する必要がありましたが、【経営管理】ビザに変更され【投資】が抜けたことにより、本人の出資は必須条件から外れました。ですから、日本人や日本の会社のみが出資している会社であっても条件を満たせば【経営管理】ビザは許可されるということになります。

 

(b)出資するということは、真剣に事業をしようとしているという証明のひとつになる!

ただし、最初に述べたとおり、ビザ申請は足し算引き算です。会社に出資しているということは、真剣に事業を行おうとする姿勢を示す客観的な証拠の一つですから、プラスポイントになりますので、出来るなら500万円以上の出資をしていることがベストとは言えます。

 

④出資金の準備のしかた

(a)その資金の形成過程にご注意下さい。

・ご自身の国内口座に500万円以上の現金がある場合

その口座の現金で大丈夫ですが、その500万円がどのようにして貯蓄されたものかという点の説明を入国管理局に求められます。「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで勤務し、こつこつと貯めたお金だったら全く問題ありません。しかし留学ビザで資格外活動許可を取ってアルバイトして貯めたお金の場合、週28時間の範囲でしか勤務出来ないはずですから、1ヶ月でもせいぜい10万円程度の給料が限界だと思われます。それなのに、例えば1年間の留学で500万円の出資金を貯めたとすれば週28時間を超えて資格外活動を行ったと疑念を抱かれる可能性がありますので注意が必要です。

・海外の口座から、国内の本人口座への送金の場合

海外の本人口座からの送金は問題ありませんが、そのお金の形成過程も説明が必要です。

他の個人の口座からの送金の場合は、その人物が設立会社の株主になるのであれば問題ありませんが、設立会社への貸付金なのであれば、その金銭消費貸借契約書が必要です。また、無利息での貸付は贈与と同様にみなされる可能性がある為、贈与税がかかる危険性がありますから、年1%程度でも利息の付加も必要です。なお、海外の法人口座からの出資は避けた方がよいです。

 

⑤決算書が悪かったら事業の継続性がうたがわれます!

【経営管理】ビザは基本的に、日本で継続的に経営又は管理事業を行う為のビザです。その為、そもそもその事業が継続できないような財務状況であれば、ビザも取れないケースが出てきます。入国管理局の在留審査要領では、

 

(a)商品原価より売上額が少ない場合、又は、債務超過(借金額が資産額より多い)になった場合(1回のみ)

中小企業診断士や税理士等の専門家による、1年以内の改善の見通しについて評価を行った書面(評価の根拠となる理由の記載が必要)の提出をすることにより、更新を認めるかどうか検討する。

 

(b)2年商品原価より売上額が少ないことが続いた場合、又は、2年連続債務超過(借金額が資産額より多い場合)が続いた場合

増資や他企業からの救済などの具体的な予定がなければ更新許可は難しい。

 

(c)欠損金はあるが、債務超過(借金額が資産額より多い)ではない場合

今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した書類の提出を行えば、疑義が無い限り原則更新許可方向で検討される。なお、場合によっては中小企業診断士や税理士等の専門家による、1年以内の改善の見通しについて評価を行った書面(評価の根拠となる理由の記載が必要)の提出を求めるケースもある。となっています。

商品原価より売上額が少ないというのはもはや商売になっていません。また債務超過(借金額が資産額より多い)状態であれば企業の存続が難しいわけですから、1回決算で上記状態になったのであれば、税理士などの専門家に相談された方がよいでしょう。

 

⑥事務所の条件

事務所として認められるためには下記⒜~⒟の条件を満たす必要があります。

⒜賃貸契約書上の使用目的が「事業用・店舗・事務所用」等、商売として使うことになっており、賃借人も法人(会社)になっていて、法人が事業用として使用することが明確であること。

⒝賃貸契約期間は原則1年以上であること。

⒞会社名の看板・表札が掲示してあること。

⒟屋台等のように、簡単に撤去などが出来る物件ではないこと。

 

⑦レンタルオフィスはOKのケースあり。コワーキングスペース・バーチャルオフィスはダメ。

最近はレンタルオフィスという形式も起業時にはよく使われますが、主な内容は以下のとおりです。

⒜レンタルオフィス:自社専用の個室になっており、その場所で業務が出来るもの。

⒝コワーキングスペース:自社専用のスペースはなく、フロア内のその時空いているスペースを使って業務をする形式。

⒞バーチャルオフィス:住所や電話番号を借り受け、登記はその住所でし、電話は他社と兼任のオペレーターが対応で折り返しに、郵便物も転送するなど、業務はその場所では出来ない形式。

レンタルオフィスは事務所としてOKです。コワーキングスペースとバーチャルオフィスは事務所としてはダメです。

 

⑧個人の住居として賃借している物件の一部を、事務所として使う為の条件

個人の住居が、事務所として認められるためには下記⒜~⒠の条件を満たす必要があります。

⒜住居目的以外での使用を貸主が認めていること(事務所として借りている個人が、事業を行う法人に貸すことについても、元々の貸主が同意が必要です)。

⒝借主である個人も、事業を行う法人が事務所として使用することを認めていること。

⒞その部屋に、事業を行う為の設備が備え付けられていること(パソコンや電話機、デスク等)

⒟その部屋の水道光熱費などの費用の支払いに関する取り決めが明確になっていること。

⒠看板・表札等、会社名が分かるものを掲示していること。

 

 

④一旦帰国後「技能実習」ビザでの再入国

制度趣旨は、日本で最大5年間様々な種類の技術を学び、自国に戻ってその技術を使って自国の為に働くというものです。その職種は多岐にわたり、農業・漁業・建設・食品製造・繊維関係・機械金属など、就労ビザでは出来ない単純労働を含む77職種139作業に及びます。

また、来年にはこの「技能実習」ビザの上級ビザとして、「(仮)特定技能」ビザが設置される予定です。これは、「技能実習」ビザで最大5年在留したあと、一定の技能及び日本語能力があることが認められれば、プラス5年「(仮)特定技能」ビザで在留出来、さらにその後、一般の就労ビザへのステップアップもできる可能性があるものになる予定と報道されています。まだ成立しておらず、2018年11月現在国会で審議中ですので未確定な部分も多いですが、就労ビザが取れないが日本で働きたいという方の一つの選択肢として以前から活用されており、今後さらに発展が見込める在留資格です。

<条件>

自国の送り出し機関にて技能実習生の申し込みをし、送り出し機関を通じて、日本での監理団体・実習実施者企業で実習を受けることになります。

<在留期間>

技能実習ビザは、まず入国する時点で技能実習1号として在留期間1年、その後技能評価試験に合格すると、技能実習2号としてさらに在留期間2年、その後また技能評価試験に合格すると、1ヶ月以上一旦帰国した後、技能実習3号としてさらに在留期間2年在留が可能な制度です。

なお、前述の「(仮)特定技能」は、この技能実習3号の後に、特定技能として在留期間5年、そしてさらにその後も在留し続けられる可能性があります。

 

⑤「留学」ビザのままで週28時間以内の資格外活動許可の取得

就労ビザが取得出来る就職先が決まらない場合、また別の学校で勉強を続けつつ、入国管理局で【資格外活動許可】を得て、週最大28時間以内のアルバイトをしつつ、就労ビザのとれる就職先を探すことも一つの方法です。ただ、学校の授業料もかかりますので就職先が決まらず、どうしても日本に在留しながら就職先を探したい場合の方法と言えます。もしくは【特定勝活動9】というビザで、大学等を卒業後就職活動を継続する方法もあります。

生活費を稼ぐ為、アルバイトをされることはあると思いますが、週最大28時間以内という制限を入国管理局は極めて厳格に考えています。当職も入国管理局内で、留学生の方がこの28時間をオーバーして働いていたことを責められ、ビザ更新が認められなかったという事例を何度もみています。雇っている会社(店)側も不法就労助長罪として罪に問われるのですが、会社(店)も28時間制限を理解していないケースや、軽視しているケースが多くありますのでアルバイトの際には十分にご注意下さい。

◎最近の不法就労摘発事例

①運送会社(東京都)

②ラーメン店(大阪府)