弁護士・司法書士が債務整理の一環として消滅時効手続きをする場合
●弁護士・司法書士の消滅時効手続きの場合、一度債務整理事故情報が登録される可能性がある
弁護士・司法書士が債務整理の一環として消滅時効手続きをする場合、まず債務整理の受任通知兼取引履歴開示請求を債権者に送り債権が消滅時効期間を満たしているか、直近10年以内に裁判を起こされていないかの回答をもらうことになります。
この受任通知が債権者に届いた時点でJICCという信用情報機関の【異動参考情報欄】に債務整理という事故情報が新たに追加されます。
●債務整理情報はいつ消える?
この債務整理という情報は登録から5年間保存されますが、完全なブラック情報である為、この情報の登録中はほぼローンやカードは審査落ちすることになります。その後、消滅時効成立した場合は債権者情報ごと1~2か月程度で消えますので、消滅時効成立する限りデメリットはありません。
問題は受任通知を送って債務整理事故情報が登録された後、債権調査の結果、消滅時効期間を満たしていなかった場合です。
●一般的な債務整理の内容
当所は行政書士の為、債務整理はあつかえませんので、神奈川県弁護士会のホームページに書かれた内容を引用します。消滅時効不成立の場合は、原則5年以内の分割で返済していく任意整理か、または自己破産(個人再生)のいずれかをそのまま依頼されるか、又は手続きを終了し弁護士・司法書士に辞任してもらうかを選択することになります。
・自己破産(個人再生)は一般的に弁護士費用と裁判所への手数料を合わせて費用は30~35万円かかりますし、期間も4~6か月かかる手続きです。
・任意整理は一般的に、今後の利息はカットしてもらって、元金と今までの利息をあわせて3~5年分割で返済していく整理方法です。弁護士費用はだいたい1社税込み55,000~66,000円程度が相場のようです。
神奈川県弁護士会のホームページ説明によると「300万円の借金を負っている場合、300万円÷5年間(60か月)=月5万円ずつ支払うことになります」と記載されています。
消滅時効を狙う時点で5~10年は延滞されている状態ですので、遅延損害金もかなりついている状態です。
例えば元金50万円の借金を10年間延滞したとします。
遅延損害金はだいたい1年で20~26%ですので、500,000円×26%=130,000円が1年間の遅延損害金となります。
130,000円×延滞した10年=1,300,000円が今回かかる遅延損害金となります。
ですから任意整理で5年間かけて返済する金額は元金500,000円+遅延損害金1,300,000円=1,800,000円となります。
1,800,000円÷60か月(5年)=毎月の返済が30,000円となります。
参照:神奈川県弁護士会 任意整理と自己破産、どっちがいいの?
●弁護士・司法書士に消滅時効手続きを依頼する前に確認されておくべきこと
ですから、自己破産するリスクと費用を覚悟されるか、又は5年間に渡り数万円を払い続ける覚悟をされた上でご依頼されるか、もしくは消滅時効が不成立ならそこで辞任してもらうかということを、弁護士・司法書士への消滅時効手続きのご依頼時点からよくご検討された方がよいでしょう。弁護士等が債務整理で介入中に債権者からの催促が止まるのは、あくまで弁護士等がちゃんと任意整理か自己破産等で処理してくれるということで信頼して債権者は数か月待っているだけであり、消滅時効不成立時に任意整理も自己破産もしたくないけれど、督促はずっと止めておいて欲しいということは出来ないので、誤解されないようにご注意されたほうがよいでしょう。
行政書士が消滅時効手続きをする場合
●行政書士の消滅時効手続きは、債務整理事故情報は登録されない
対して行政書士が行う消滅時効手続きは、債務整理ではありません(そもそも行政書士は債務整理は行えない資格である為)。行政書士が行えるのは、行政書士法第1条の3に規定する消滅時効援用通知書の作成及び発送とそれに伴う相談業務ですので、債務整理情報が新たに登録されることはありません。
ですから仮に消滅時効が不成立であった場合でも、信用情報に新たな事故情報が登録されることはありません。
信用情報面からみた消滅時効手続きの依頼先
●依頼先資格者3者
消滅時効手続きの依頼先として、弁護士・司法書士・行政書士の3者があります。ヤミ金融や個人間の貸し借りで無い限り、消滅時効は条件が揃っていればどの専門家がおこなっても消滅時効は成立し債務が消滅し、信用情報も時効処理されます。
ですから原則として交渉の必要もありませんので、弁護士・司法書士・行政書士の誰に頼んでも同じです。
※ヤミ金融や個人間の貸し借りは、法律の枠外の相手又は法律を知らない相手である為、交渉の必要が出てくる可能性がありますので、代理権の無い行政書士では無く、弁護士・司法書士に依頼されるべきです。
⑴消滅時効不成立の場合に、債務整理(任意整理・自己破産)をしたい方
消滅時効手続き時点で債務整理事故情報は登録されますが、その後債務整理されるならそもそも同じですので、弁護士・司法書士に消滅時効手続きを依頼されるべきです。⑵消滅時効不成立の場合に、消滅時効期間経過するまで放置して再度の消滅時効手続きをされたい方
弁護士・司法書士の場合、消滅時効手続き時点で債務整理事故情報は登録されてしまいます。行政書士の場合は消滅時効手続き時点で債務整理事故情報は登録されませんので、行政書士の方が多少良いかと思いますが、どちらにしても延滞事故情報は消滅時効手続き前から登録されていますので、弁護士・司法書士・行政書士の誰に依頼してもほとんど変わりはありません。
また消滅時効不成立時に債務整理ですに放置する場合、弁護士・司法書士に消滅時効手続きを依頼しても辞任され、そこから請求がくることになりますので、行政書士に消滅時効手続きを依頼される場合と、後の流れは変わりません。
ですから、弁護士・司法書士・行政書士のどちらでもよいので、費用が安く対応のよい事務所に頼まれるのがよいでしょう。
⑶消滅時効不成立の場合に、ご自身で一括返済される場合
弁護士・司法書士の場合、消滅時効手続き時点で債務整理事故情報は登録されてしまいます。行政書士の場合は消滅時効手続き時点で債務整理事故情報は登録されませんので、ご自身で一括返済されるご予定であれば行政書士に依頼される方が早く信用情報がキレイになる可能性があります。
詳しく説明しますと、
債務整理情報は、登録から5年間保存され、ご完済されても残り続けます。
延滞情報は、ご完済されると延滞解消情報というグレー情報に変わり、1年後に完全に消えます
(※2019年10月1日以降に発生した債権については、完済から5年間延滞解消情報として残ります)。
ですから弁護士・司法書士に消滅時効手続きを依頼されて消滅時効不成立した後、ご自身で一括返済されると、延滞情報は延滞解消情報になって1年後に消えますが、債務整理情報は5年間残ってしまい、その5年間ローンやカードは通らないでしょう。
対して行政書士に消滅時効手続きを依頼されて消滅時効不成立した後、ご自身で一括返済されると、延滞情報は延滞解消情報になって1年後に消えますし、債務整理情報は登録されない為、ご完済時点でローンやカードが通る可能性は出てくるということになります。
なおもし消滅時効手続き不成立の場合に、ご自身で一括返済される場合は、債権者から定期的に減額和解提案書という通知が届くことがあります。
この減額和解提案書というものは、【●月●日までに一括返済される場合は、総額100万円のところ40万円払ってくれたら残りは免除します】というような提案書です。
ですからこの通知が届いた時に一括返済されたほうが大幅にお得になる可能性もありますので、ご参考になさって下さい。




