日本人配偶者ビザからの永住許可申請成功(本人申請で永住不許可だった事例)【大阪入管】
日本人配偶者ビザからの永住許可申請成功(本人申請で永住不許可だった事例)【大阪入管】
2020/11/12
ジャンル 在留.永住許可
ご相談内容
日本人配偶者3年ビザをお持ちの、女性のお客様から永住ビザ申請のご依頼を頂いた事例
※かなり厳しい内容です

①15年在留・就労は途切れ途切れで通算約3年程度(現在の勤務先は半年程度)
②夫は数年前から無職で、親の介護の為2か月中国へ出国し、2週間日本に住むという生活を繰り返している
③夫の帰化と共に日本人配偶者ビザになって4年
④最近3年間世帯年収100万円前後
⑤預金約200万円
⑥日本人夫と、中国籍の子ども2人の4人家族
⑦犯罪歴無し・軽微な交通違反過去5年間の間に2回
⑧1度自分で永住許可申請し不許可となったことがある
解決方法、内容
⑴永住許可要件の検討
状況をお聞きすると、上記のとおり非常に厳しい内容で、通常の就労ビザから変更の方であれば、許可見込みが無いとしてお断りしている内容でした。

ただ今回のお客様は【日本人の配偶者等】ビザですので、通常より要件が大きく緩和される方でした。
まず、永住許可の3条件【素行善良要件】【独立生計要件】【国益要件】の内、日本人の配偶者等ビザの方は、【素行善良要件】と【独立生計要件】に該当していなくてもOKです。
さらに【国益要件】中の在留・就労期間要件「10年以上在留、かつ5年以上就労していること」が、「婚姻が3年以上継続し、かつ1年以上継続して日本に居続けていること」に変わります。

⑵今回の事例への要件の当てはめ
①収入面
収入面から家族4人で世帯年収100万円ですと【独立生計要件】は完全にアウトですが、該当していなくてもよいわけですので今回は大丈夫です。ただし【国益要件】には【公共の負担になっていないこと】という条件があり、夫が無職で非課税になっていることなど考えると公共の負担になっている(今後もなり得る)とも考えられる部分もありました。
この点に関し、夫は現在中国の親の介護の為、仕事を退職し無職となっていますが、それまでは優秀な営業マンであり、親の介護の問題が無くなればまだしっかりとした収入を得られることを説明しました。

また永住申請の身元保証人は通常日本人の夫がなるのですが、収入面で不安があった為、もう1名日本人のしっかりとした収入のある方にも身元保証人になって頂きました。

②違反歴
【素行善良要件】は問われないとはいえ、【国益要件】には「法令を守ること」という要件もあり、交通違反はこの部分にひっかかる可能性がありますので、この違反歴についても当時の違反時の状況の説明とその真摯な反省を理由書に記載頂きました。

③以前の永住不許可理由
夫の帰化後、本人が永住申請し不許可になられたことがあり、その不許可理由も探らなければ今回も同じ理由で不許可になる可能性があります。不許可が出た時に入国管理局に理由を聞きにいかなかったらしく、本人も理由を理解されていませんでした。
そこで最初に夫婦2名分の【出入国記録】と【外国人登録原票記載事項証明書】の開示申請を出入国在留管理庁へ行いました。
すると、出入国記録から、永住申請の半年前に半年間程中国に帰国されていたことが判明しました。
日本人の配偶者等ビザの方は前述のとおり「婚姻関係が3年以上継続し、かつ1年以上継続して日本に居続けていること」が必要ですが、この【1年以上継続して日本に居続けている】に該当しない為、おそらく不許可になったと考えられました。

④婚姻関係の継続
今回の申請の最重要点がこの部分です。
【日本人の配偶者等】ビザの方の永住申請要件が大きく緩和される理由は、あくまで【日本人の配偶者】だからです。だからこそ、「婚姻が3年以上継続」という要件を課されるのですが、
入国管理局は、形式的に婚姻届が出ていることだけで婚姻が継続していると考えてはおらず、【本当に実態上も、お互いを慈しみあう婚姻関係が継続しているか?】を重要視しています。
そして今回のお客様は、夫が「2か月中国に住んで、2週間日本で住む」ような生活をここ数年続けていることにより、【本当に実態上もお互いを慈しみあう婚姻関係が継続】していることに、疑念が持たれる可能性があるという大きな問題点がありました。
そこで当職は、夫婦がずっとWechatでやりとりしていることを聞いた為、最初に取り寄せた夫の【出入国記録】と照らし合わせ、夫が中国に出国している間のWechatのやりとりの画面のスクリーンショットを、出国期間ごとに合計20枚程度プリントアウトさせてもらい、中国語でのやりとりなので、翻訳分も付けた上で、【離れている間も夫婦がお互いを慈しみあい、円満な夫婦関係が継続していること】を立証することにしました。

また数年前子どもの保育所の申請書に「夫が中国の親の看病の為、中国に戻らないといけない」と書いたということも聞いたため、夫と共に区役所の担当課に出向き、当時の資料を可能な範囲で開示頂き、その資料も永住申請に添付しました。
これにより、【永住申請の為に今適当な理由を言っているのではなく、数年前から真にやむを得ない事情で出国していた】ことを立証しました。


以上のとおり書類を纏め永住申請をしましたが、追加資料提出指示で、さらに夫の収入や保険の加入状況を示す書類を5件以上求められ、本当にギリギリの案件となりましたが、ご相談時点から約9か月かかって、今回やっと永住許可通知が届きました。
旦那様も奥様も、「本当に許可出たんですか?!先生ありがとう御座います!」と大変喜んで頂けました。

当職が扱った永住許可案件の中でも、最も厳しい部類に入る申請でしたが、一つ一つ丁寧に状況と永住審査規定を検討し申請書を作り上げ許可を得られた為、お客様に大変喜んで頂けまして、行政書士冥利に尽きる事案でした。
参考費用
報酬115,000円(税込126,500円)

別途入国管理局へ納付する申請手数料8,000円+郵送費などの実費
お客様の情報
中国籍/大阪府/女性

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