未成年の障がい児童の扶養を補助する為に、告示外特定活動ビザで中国から祖母を中長期ビザで呼び寄せることに成功しました!【大阪入管】
未成年の障がい児童の扶養を補助する為に、告示外特定活動ビザで中国から祖母を中長期ビザで呼び寄せることに成功しました!【大阪入管】
2023/2/1
ジャンル 在留.永住許可
ご相談内容
日本で10歳未満の障がい児童を1人で育てている父親から、障がい児童の子育てが1人ではとても続けていけない為、中国にいる祖父母を中長期ビザで呼び寄せたいというご相談

※本件のビザは、法律上定められておりませんが、人道上の理由を鑑み個別に認められた例外的なビザになりますので、類似のケースでも認められるという保証はありません。
また例外ビザの為、この解決事例には様々な難解な法律用語が御座いますので参考程度にご覧ください。
解決方法、内容
⑴在留資格の検討
原則として日本では、親を呼び寄せる中長期ビザは、高度専門職ビザの方の7歳未満の子を育てる補助者として呼び寄せるビザ以外は存在しておりません。
今回の父親は永住者であり高度専門職ビザでは無い上、障がい児童も7歳以上である為、このビザは使えません。

ですから検討するのは、正式には存在していないビザ、いわゆる【告示外】ビザとなります。告示外ビザは特定活動ビザと定住者ビザがありますが、どちらも【人道的理由から認めることが望ましい】という理由で認められるケースのあるビザです。


告示外の中で有名なものとして、【身寄りのない老親を呼ぶビザ】があります。
このビザの場合、以下の①~④の全てを満たしていれば認められる可能性があります(あくまで例外ビザですから、満たしていても認められない可能性はあります)
①65歳以上であること
②日本国外に配偶者がいないまたは、いても同居が見込めない状態であること
③日本にいる子以外は、適当な扶養者が他に存在しないこと
④日本に居る子が一定の収入を得ており、かつ納税義務を履行していること

今回のケースは、①②を満たしておらず、このビザも望めませんでした。


そこで神戸入国管理局と大阪入国管理局で審査官と相談を行ったところ、
【扶養者が片親しかいない障がい児童の扶養を補助する為に、祖父母のどちらかを呼び寄せするビザ】を申請して良いと回答を得ました。

存在しないビザですので、人道上の理由があると思われる場合でも、相談せずにいきなり申請しても受け付けてもらえません。
ですから、受付してもらえるものか?、どうような要件を満たす必要があるのか?を事前に相談の上、申請書類を作成する必要があります。
ちなみに定められていないビザですから、要件や必要書類についても担当審査官からは具体的に詳しくは教えてもらえません。
ですのでこちらから「このような要件を満たす書類を準備すればよいのか?」というように質問していき、要件や必要書類のあたりを付けることになります。
この作業は、入管法や在留審査要領、児童の権利に関する条約など、ビザに関する専門的な知識経験がなければ質問自体も難しいですから、専門の行政書士しか出来ないと思います。

お客様にも、あくまで例外的に認められる可能性のあるビザですから、申請しても不許可になる可能性の方が高い申請であることと、そのような申請であるので完全成功報酬制では業務を受任できない為、半分を着手金で頂く契約であれば受任出来るということを伝え、契約を締結しました。


⑵申請者(祖母)の短期滞在での入国
告示外ビザの場合にはもう1点問題があり、告示外ビザでは上陸許可基準を満たさない為、日本に上陸が出来ないという問題です。
入管法第7条において入国審査官の審査の規定があり、同条第1項第2項に【・・・別表第一に掲げる活動、または別表第二に掲げる身分を有する者としての活動のいずれかに該当し】ている場合でなければ入国できないとされています。

告示外ビザは【規定の無いビザ】ですから、当然ながら法律別表に記載されておらず、日本に上陸が出来ないわけです。
【上陸は出来ない】けど、【在留は出来る可能性がある】という変な状態であるわけですが、この場合は、親族訪問目的など90日の短期滞在ビザで一旦入国しても頂き、そこから告示外特定活動ビザへ在留資格変更申請をすることになります。
ちなみに在留資格変更許可申請をすると、現在の在留期間が過ぎても審査結果が出るまで、現在の在留資格で日本に在留し続けることが出来る【特例期間】がありますが、この特例期間が認められるのは、31日以上の在留期間のビザのみです。

在留資格変更申請の審査期間は1か月半はかかるので、短期滞在ビザ期間は90日でなければ、審査結果が出るまでに在留期限が切れてしまうことになり、日本に滞在出来ないのでこの点も注意が必要なわけです。


⑶書類収集と理由書作成
今回の要件は、
①障がい児童の障がいの程度が、常に誰かのサポートを必要とするレベルである証明
②日本には父親1人しか障がい児童を扶養出来る人間が存在しないことの証明
③父親1人では障がい児童の面倒を見切れないことの証明
④祖母が日本に滞在しても、資金面で日本国の負担にならないことの証明
でした。

それぞれの証明書類を検討の上、父親と共に書類を収集し、それに沿った理由書を作成致しました。
出生から今までの病院の治療記録や、現在の主治医の意見書、父親の勤務先からの願出書など、証明すべき事柄が非常に多かった為、書類の枚数は100ページを超える大作になりました。


⑷入国管理局への申請
短期滞在の在留期間があと10日ほどになった時点で書類が完成し、大阪入国管理局へ在留資格変更申請を行いました。
この申請の際も、存在しないビザである為、そのまま申請すると受付で止められますので、先に担当審査官に話を通してから、受付で【〇〇審査官から申請してよいと了承を得ています】と言って申請を受け付けてもらいました。


⑸変更許可通知到着!
申請から1か月半後に無事添付画像の許可通知ハガキが到着しました。
今回は父親も児童も永住者であった為、永住審査部門での審査だったのですが、添付のとおり、変更許可で使用する4,000円の収入印紙の記載が有るハガキに、永住審査部門の連絡先が貼られているものでした。
ちなみに持参物の中に在留カードも書かれていますが、今回は短期滞在ビザからの変更だったので、在留カードは無いのですが、やはり珍しい例外ビザである為、入国管理局もそこまで気が回らなかったのかと思います。

障がい児童にとっても、今まで1人で苦しんでおられた父親にとっても、祖母がずっと日本に滞在しサポートしてくれるということは非常に大きなことで、大変喜んで頂けました。

大阪・京都・兵庫など関西でビザについてお困りの方は、このような例外的なビザ申請も取り扱っている、知識経験豊富な行政書士がご相談をお受けしますので、当所にご相談頂ければと思います。
参考費用
総額:95,000円(税込104,500円)
①着手金:55,000円
②成功報酬:49,500円

別途:ビザ変更の収入印紙4,000円、実費
お客様の情報
中国在住/女性(障がい児の祖母)