2021/6/22(火)
ウーバーイーツ不法就労助長容疑の書類送検について
事実かどうかは今後の裁判により明らかにされると思いますが、外国人を雇用(ウーバーイーツは名目上雇用ではなく請負または業務委託という形)した場合、ビザを確認せずに労働させた場合、今回のように法人はもちろん、代表者や担当者まで、入管法(入国管理及び難民認定法)第73条の2等により刑事罰を受ける危険性があります。
ちなみにこの入管法第73条の2の場合、
三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
となっております。
また対象となるものは、
一事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者
となっており、今回ウーバーイーツは上記一または三ということで書類送検を受けたと考えられます。
ウーバーイーツの業務を外国人に行わせる場合、ビザの方法は以下の3つとなります。
①永住者.永住者(日本人)の配偶者.定住者ビザを所有する外国人を使う
②留学や家族滞在ビザ等の外国人に資格外活動許可を取らせ、原則週28時間以内で就労させる
③特定活動46号ビザを取得させ就労させる
料理宅配は単純労働と思われますので、通常の就労ビザは取得出来ません。また③の特定活動46号ビザは会社側の法定調書合計票等の機密書類を申請時に提出しなければならない為、1配達員の為にウーバーイーツが出すとは考えられない為、実質①か②しか配達員としては使えないことになります。
ですので、ウーバーイーツはパートナーとして業務委託契約を結ぶ際の条件として、外国人の在留カードを確認し、①のビザを持っているか、または資格外活動許可を持っているかを確認してから業務に従事させる必要があったということです。
報道によれば今回入管法違反の疑いをもたれている行為の一つは、パートナー契約時にウーバーが本人と面談せず、在留カードの画像だけでチェックをしており、その在留カードが他人の在留カードであり、本人は不法滞在者だったというケースらしいです。
入管行政の専門家である我々からすればとても恐ろしいことですが、一般の方からすると日本人を雇用することと外国人を雇用することに、あまり大きな違いがないと勘違いされてらっしゃるのかなと思います。
ウーバーイーツのような大企業でもそのようなことがあるくらいですから、中小の企業様の場合、入管法はほとんどなじみのないものだと思いますし、社員の方が入管法に精通されていることも少ないと思います。
しかし、就労ビザの無い外国人を雇用しただけでも、法人及び代表者や担当者は、このような入管法違反で最大3年以下の懲役刑を受ける危険性が御座います。
外国人雇用を検討される会社様で、社内に入管法に明るい社員様がいらっしゃらない場合は、必ず専門の行政書士や管轄の入国管理局に相談の上対応なさって下さい。