⑼高度専門職ビザを取得したい

一般的な就労ビザである【技術・人文知識・国際業務】ビザの上位ビザとして【高度専門職1号ロ】ビザが、
経営者のビザである【経営・管理】ビザの上位ビザとして【高度専門職1号ハ】ビザが存在します。

そして高度専門職1号ビザで3年以上在留されると、在留期間が無制限かつ転職自由の【高度専門職2号】ビザへの変更も出来る可能性があります。

※【研究】ビザの上位ビザとして【高度専門職1号イ】ビザも存在しますが、ご相談はほとんどない為、本稿ではご相談の多い、【高度専門職1号ロ】【高度専門職1号ハ】のみご説明します。

 

高度専門職ビザは2027年3月の永住許可条件厳格化に伴い、さらに重要性が増しました

もともと永住許可要件の緩和(10年→1,3年)配偶者の就労制限撤廃妊娠出産に伴う親の帯同などメリットの多かった高度専門職ビザでしたが、2027年3月に行われる永住許可条件の厳格化によりその有用性がさらに増しました。
それは高度専門職ビザは【在留期間が必ず5年】という点です。

今までは永住許可条件の一つが【現在の在留期間が3年以上であること】であったところ、2027年3月以降は【現在の在留期間が5年であること】に変更される予定です。
一般的な就労ビザである技術人文知識国際業務などのビザの場合、1年・3年・5年の中から入国管理局の判断で決定されます。

1年と3年の判断の差は【健康保険が社会保険で無い、今まで外国人労働者を雇用したことがない会社など、1年に1回は入国管理局がチェックする必要のある人かどうか?】という点である程度明確なのですが、3年と5年の判断の差はブラックボックスです。
ですから3回目や4回目の更新でも3年ビザまでしか認められない人もいれば、1回目の更新で5年ビザが認められる人もおり、行政書士としても説明が難しいところです。

外国人の方が最終的に目指される永住許可を申請する為の要件が5年ビザに限定されたことにより、在留期間が必ず5年である高度専門職ビザの有用性が格段に上がったと考えられます。

条件

高度専門職VISAの条件は、高度専門職ポイント計算表で計算し70点以上であることです。
下記【出入国在留管理庁 ポイント評価の仕組みは?】をクリックして頂くと計算表のページになりますので、現在のあなたが70点以上あるかどうかをご確認ください。

あなたが技術人文知識国際業務で会社で勤務している方の場合(大学等の教授や教員で教授ビザの方も)は【B 高度専門職第1号ロ】の表で計算してください。
あなたが経営管理業務で会社経営者の場合は【C 高度専門職1号ハ】の表で計算してください。

参照:出入国在留管理庁 ポイント評価の仕組みは?
 

高度専門職第1号ロ

⑴学歴ポイント

学位 点数
博士学位(専門職学位除く) 30点
MBA,MOT(経営管理専門職学位) 25点
修士学位,専門職学位 20点
学士学位 10点
※異なる分野で2つ以上の修士学位や博士学位を取得している場合はさらに+5点となります。
 

⑵職歴ポイント

従事する業務に係る経験年数 点数
10年以上 20点
7年以上~10年未満 15点
5年以上~7年未満 10点
3年以上~5年未満 5点
複数の会社での経験でも、それぞれの会社が発行する在籍証明書(退職証明書)で従事した業務内容や年数が確認できるなら年数を合算できます。
どちらにしても新しい勤務先に変わってから初めての更新申請時に、前職の退職証明書を入国管理局に提出することになりますが、退職時に必ず在籍証明書(退職証明書)をもらうことと、入国管理局に退職証明書を提出する際、必ずコピーは残しておくようにしてください
 

⑶年収ポイント

①30歳未満
年収 点数
1000万円以上 40点
900~1000万円 35点
800~900万円 30点
700~800万円 25点
600~700万円 20点
500~600万円 15点
400~500万円 10点

②30~34歳
年収 点数
1000万円以上 40点
900~1000万円 35点
800~900万円 30点
700~800万円 25点
600~700万円 20点
500~600万円 15点

③35~39歳
年収 点数
1000万円以上 40点
900~1000万円 35点
800~900万円 30点
700~800万円 25点
600~700万円 20点

④40歳以上
年収 点数
1000万円以上 40点
900~1000万円 35点
800~900万円 30点

以上のとおり、上限は変わらないのですが年齢が上がるごとに下限が上がっていきます。
例えば30歳未満であれば年収400万円でも10点加点がありましたが、40歳以上ですと800万円以上ないと1点も加点はありません。

※要注意!
年収が300万円未満の場合、他のポイントで70点以上に達していても、高度専門職VISAは不許可となります
高度専門職VISAの最低条件が300万円以上ですのでこの点はご注意ください

 

⑷年齢ポイント

年齢 点数
30歳未満 15点
30~34歳 10点
35~39歳 5点

年収ポイントとも絡みますが、30歳未満が最もポイントが取りやすいと言えます。
 

⑸資格ポイント

従事予定の業務に関連する日本の国家資格(業務独占又は名称独占資格)を保有、
又はIT告示定める試験に合格・資格を保有

保有資格数 点数
1つ 5点
2つ以上 10点


従事しようとする業務に関連する外国の資格・表彰等で法務大臣が認めるものを保有
 

保有資格・表彰等 点数
有り 5点
 

⑹日本語能力ポイント

日本語能力 点数
日本語能力N1合格
又は日本語専攻で外国の大学を卒業
15点
日本語能力N2合格 10点
 

⑺日本の大学ポイント

  点数
日本の大学又は大学院を卒業 10点
 

世界大学ランキング等ポイント

世界大学ランキングのいずれかにランキングされている日本の大学、
又は2つ以上の世界大学ランキングで300位以内にランキングされている外国の大学
点数
有り 10点

世界大学ランキングとは以下1~3のことを指しますが、基本的には出入国在留管理局の
世界大学ランキングに基づき加点対象となる大学(PDF)】に記載があるかどうかでご確認ください。
  1. クアクアレリ・シモンズ社公表のQS・ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス
  2. タイムズ社公表のTHE ワールド・ユニバーシテイ・ランキングス
  3. シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー公表のアカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシテイズ

ほかにもスーパーグローバル大学創成支援事業において補助金の交付を受けている大学等に該当しても同様に10点の加点はありますが、ほぼ上記世界大学ランキングでカバーできると考えられます。
 

⑼その他の特別加算ポイント

他にも特許取得や学術論文掲載実績、勤務先企業がイノベーション促進支援措置を受けているケースは10~15点の加点がありますが、こちらに該当するケースは多くありませんので割愛します。

高度専門職第1号ハ

⑴学歴ポイント

学位 点数
MBA,MOT(経営管理専門職学位) 25点
修士学位,専門職学位 20点
学士学位 10点
※異なる分野で2つ以上の修士学位や博士学位を取得している場合はさらに+5点となります。
 

⑵職歴ポイント

経営又は管理業務に係る経験年数 点数
10年以上 25点
7年以上~10年未満 20点
5年以上~7年未満 15点
3年以上~5年未満 10点

複数の会社での経験でも、それぞれの会社での経営・管理経験年数を合算することが可能です。
経営経験に関しては、会社の履歴(閉鎖)事項全部証明書にて取締役として登記されていれば合算できます。
管理経験に関しては、その会社発行する在籍証明書(退職証明書)で従事した業務内容や年数が確認できるなら年数を合算できます。
どちらにしても新しい勤務先に変わってから初めての更新申請時に、前職の退職証明書を入国管理局に提出することになりますが、退職時に必ず在籍証明書(退職証明書)をもらうことと、入国管理局に退職証明書を提出する際、必ずコピーは残しておくようにしてください

※【管理】とは一般的には支店長・工場長・部長などの役職を指しますが、中小企業の場合は、役職名はもちろん実際に何名の部下を管理していたかなどを説明した上で入国管理局が判断することになります。
当所の過去の実績では、部下が6名いる部長職の経験を【管理経験】と評価してもらったことがあります。
 

点数

高度専門職ビザは上記点数の合計が70点以上であれば許可されますが、点数によって永住許可条件の緩和内容が異なります。
高度専門職点数 永住許可時の
必要在留・就労年数
70点・75点 3年以上
80点以上 1年以上

通常は10年以上在留かつ、5年以上就労ビザ又は身分系ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)での在留が永住許可の条件ですが、高度専門職点数によって上記の通り1年や3年に短縮されます。

高度専門職ビザのメリット

⑴在留年数が5年になる

今後永住許可面で非常に大きなメリットとなるのがこの点です。
技術人文知識国際業務ビザなどの場合、1年や3年ビザになるケースもありますが、高度専門職1号ビザの場合は必ず5年となります。
今まではただ長期間ビザ更新をしなくてもよいというメリットだけでしたが、2027年3月以降は、永住許可要件の一つが【現在の在留期間が3年以上であること】から【現在の在留期間が5年であること】に厳格化されます。

ですからいつ5年ビザが認められるか見通せない技術人文知識国際業務ビザに比べ、確実に5年ビザになる高度専門職ビザの優位性は今までより大きくなると考えられます。
 

⑵永住許可における在留期間・就労期間等要件が大幅に緩和される

通常は10年以上在留かつ、5年以上就労ビザ又は身分系ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)での在留が永住許可の条件ですが、高度専門職点数が80点以上の場合は1年以上に、70点75点の場合は3年以上に短縮されます。
 

⑶配偶者の就労の優遇

高度専門職ビザ外国人の配偶者は、通常家族滞在ビザで資格外活動許可の週28時間以内の範囲でのアルバイトしか認められないところ、特定活動ビザへの変更申請をすることにより学歴や職歴が不足している場合でも技術人文知識国際業務ビザのような就労ビザの方と同様のフルタイム労働に従事することが認められます。
 

⑷一定の要件を満たす場合、妊娠出産の補助の為、両親の呼び寄せが可能

①高度専門職ビザ外国人又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合、
②高度専門職ビザ外国人又はその配偶者が妊娠中の時にその介助等を行う場合、
【一定の要件】の下で、高度専門職ビザ外国人又はその配偶者のどちらかの両親(養親を含みます。)の入国・在留が認められます。

一定の要件】とは、
・高度専門職ビザ外国人の世帯年収が800万円以上であること
・その親が高度専門職ビザ外国人と同居すること
を指します。
 

⑸一定の要件を満たす場合、外国人家事使用人の雇用が可能

こちらは希望が少ない為割愛します。詳しくは出入国在留管理局のホームページをご確認ください。

参照:出入国在留管理局 どのような優遇措置が受けられる?
 

⑹高度専門職2号ビザへの変更の道が拓ける

高度専門職1号ビザで3年間在留している外国人の方は在留期限が無制限、転職自由の高度専門職2号ビザへの変更申請をする権利を得られます。

外国人の方の日本でのビザのゴールは、永住者ビザ・帰化許可の2つですが、2026年10月から永住許可申請の収入印紙代が現行の1人10,000円から200,000円に大幅増額されます。
また永住許可申請・帰化許可申請とも審査が厳格化されます。
そうなってくると、例えば家族4人で永住許可申請をする場合、行政書士への報酬以外に800,000円という収入印紙代がかかることになり、大きな負担となります。

しかし高度専門職2号は在留期間5年以上のビザとして1人あたり75,000円(オンライン申請ならば65,000円)になると考えられます。
そうなると、家族4人での申請の場合、
永住許可:200,000円×4人=800,000円
高度専門職2号:65,000円×4人=260,000円

高度専門職2号の方が1/3以下の手数料で済むことになります。

当然審査としては永住許可に準じた審査にはなりますが、在留期間無制限・転職自由という実質永住者と同等に近い権利を得られる高度専門職2号ビザを選択される方は今後増えるのではないかと考えられます。
 

総括

以上のとおり、特に
⑴在留年数が5年になる
⑵永住許可における在留期間・就労期間等要件が大幅に緩和される
⑹高度専門職2号ビザへの変更の道が拓ける

という3つのメリットは外国人の方にとって非常に魅力的な内容となります。

ですから今後は、永住許可申請を狙う予定でも、条件が揃っていれば取り合えず高度専門職ビザに変更されてから進められることをお勧めします。